| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百八話 ナンと海その十一

「究極の無慈悲ね」
「それを発揮していたか」
「そうだったのよ」
「つまり寛大ではあったんだな」
「従う相手にはね」
「宗教や宗派は関係なくだな」
「あっ、逆らった相手にはね」
 その場合はというと。
「ムスリム相手に目の前でコーラン焼いたりしてたそうよ」
「今やるととんでもないな」
 コーランを焼くと聞いてだ、ダンも引いた。
「それはな」
「即刻戦争ものよね」
「相手がジハードを仕掛けてくるな」
「そうなるわね」
「そうだ、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「かなりの人が死ぬ」
「そうなることだけれど」
「逆らったならか」
「従うならね」
「そのイスラム教もか」
「信仰許していたから」
 完全にノータッチだったというのだ。
「仏教にも道教にもキリスト教にもそうで」
「問題は従うかどうかか」
「これで逆らうとね」
「相手に容赦しないからだな」
「コーランだってね」
 これもというのだ。
「焼いたりしたのよ」
「成程な」
「無慈悲にもね」
「本当に無慈悲だな」
「下手にやったら自分達が危ない位にね」
 コーランを焼くその所業がそれであることは言うまでもない、この時代でもそれは死を意味する行いだ。
「容赦しなかったのよ」
「ある意味凄い国だったんだな」
「だから誇りなのよ」
「しかし模範にしていない部分もあるな」
「敵に容赦なくはね」
 それはというのだ。
「今はないな」
「戦争もないしな」
「平和な国よ、治安もいいし」
 そうした意味でも平和だというのだ。
「凄くね」
「それは何よりだな」
「それでね」
 ナンはさらに話した。
「チンギス様のいい面をね」
「見習う様にしているか」
「そうなの、ただね」
 ここでまた言ったナンだった。
「今日ダンと一緒にいてお話して」
「それでか」
「色々学べてるってね」
「そう思っているか」
「実際にね」
 そうだというのだ。
「海のこと、海の生きもののことをね」
「いいだろ、海も」
「ええ、かつては鬼門だったけれどね」
 モンゴルにとってはとだ、ダンは話した。
「海はね」
「元寇か」
「いや、あの時はね」
「負けたな、日本に」
「台風なくても負けてたわね」
 神風、それがなくともというのだ。
「結局ね」
「そうなっていたか」
「だって海渡ってずっと船の中にいて」
 当然ながら慣れていない場所である。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧