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八条学園騒動記

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第五百八話 ナンと海その七

「それが野生だったらね」
「野生かどうかはわかるのか」
「だって野生だと馬具付いていないから」
 これでわかるというのだ。
「誰かが飼っていたらね」
「馬具が付いているか」
「ええ、たまたま全部外れていても」
 それでもというのだ。
「飼われてる馬ってわかるわよ」
「何でわかる」
「毛並みが違うのよ」
 それでわかるというのだ。
「食べてる草が違うから」
「その関係でか」
「そう、モンゴル人だと一発でわかるから」
 それでというのだ。
「毛並みもね」
「つくづくモンゴル人は凄いな」
「草原のことについては」
「まさに特別だな、というかだ」
 ここでダンはこうも言った。
「魚が天然か養殖がわかるのもな」
「あれわかるの」
「色が違う、天然ものの色は薄い」
「そうなの」
「鯛でも何でもな、養殖ものは色が濃くなって美味く見える様にそうした色になる餌を食わせているしだ」
 それにというのだ。
「沢山食わせている」
「太ってるのね」
「沢山食う分な」
「天然、野生だといつも食べられないからね」
「だからだ」
 こうしたことがあってというのだ。
「天然と養殖は見分けられる」
「成程ね」
「それと同じか」
「そうね、家畜が養殖でね」
「野生が天然だな」
「そうなるわね、まあモンゴル人馬は食べないけれど」
 これまでに話している通りにというのだ。
「そうしているけれどね」
「天然と養殖だな」
「そうした違いね」
「成程な」
「それでね」
 ナンはダンにさらに話した。
「モンゴルの星ではね」
「野生の馬が減っていってるか」
「そうなのよ」
 見付ければ家畜化して乗っているからだ。
「モンゴル人の馬って一人一頭じゃないからね」
「何頭も持っているか」
「それで飛び移って乗り換えもするし」
「そうもするか」
「軽々とね」
「その軽々がな」
 馬に乗りつつ隣の馬に飛び移ってまた乗る、それがとだ。海辺で生まれ育っているダンは思って言うのだった。
「凄いな」
「それ皆言うわね」
「モンゴル人ならではだな」
「まあモンゴルだとね」
「草原にいるとか」
「それ位は普通なのよ」
「その普通がな」
 モンゴルではそうでもというのだ。
「違うからな」
「他の国ではそうなのよね」
「遊牧民以外だとな」
「もう一々降りるよりもね」
「飛び移るか」
「流石に馬に乗ったまま跳ばないわよ」
 これはないとだ、ナンは笑って話した。 
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