八条学園騒動記
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第五百八話 ナンと海その八
「流石にね」
「漫画であるな、そうしたことは」
「ジャンプはさせるけれど」
それでもというのだ。
「ペガサスに乗ってるみたいにね」
「何十メートルもの跳躍はないか」
「特撮ヒーローのマシンじゃないから」
空を飛ぶ様なことはというのだ。
「ニューサイクロンみたいにね」
「二十世紀の日本のヒーローだな」
「仮面ライダーね」
それも初代である、尚この時から仮面ライダーは同時に二人いた。伝説の仮面ライダー一号と仮面ライダー二号だ。
「ああいうのは出来ないから」
「世界帝国を築く位強くてもな」
「それでもよ」
幾ら強くとも、というのだ。
「ドラマのチンギス様はされているけれどね」
「ドラマはドラマだからな」
「痛快時代劇でね」
モンゴルの時代劇である。
「日本だと遠山の金さんや水戸黄門や暴れん坊将軍みたいな感じね」
「どの作品も今も続いてるな」
この時代でもシリーズが放送されているのだ。
「面白いな」
「ああした感じでね」
「チンギス=ハーンが悪い奴等を懲らしめるんだな」
「馬に乗っておられるけれど」
その時にというのだ。
「バトルシーンでね」
「馬が跳ぶか」
「高々とね、それで滅茶苦茶な強さなのよ」
「馬が跳ぶ位だとな」
「弓矢は百発百中で悪い奴を何人も貫いて」
「本当に強いな」
「刀は敵をまとめて何人もやっつけるのよ」
そうしてしまうというのだ。
「だからね」
「滅茶苦茶強いのはわかるな」
「特撮ヒーロー並に強くて名裁きもあるのよ」
「待て、やっつける時点で殺しているだろ」
その強さを聞いてだ、ダンはすぐにこう思った。
「何人も貫くだのまとめて切り捨てるとかの時に」
「だから生き残った奴等ね」
「その場で名裁きか」
「桜吹雪や印鑑は出さないけれど」
このことは日本の時代劇と違っていた。
「それでもね」
「とにかく名裁きもあるんだな」
「そうよ、強くて格好良くて賢くで寛大で」
「理想の名君か」
「悪を見抜き許さない」
ナンはこうも言った。
「史実のチンギス様を参考にしたそうよ」
「チンギス=ハーンは悪名高き破壊者じゃないのか」
「それ他の国が言うことでしょ」
「モンゴルだと違うか」
「当たり前でしょ、何でモンゴル人がチンギス様を嫌うのよ」
破壊者だの言ってというのだ。
「絶対に有り得ないわよ」
「モンゴルといえばという人だからな」
「もう本当にね」
「偉大な英雄か」
「神様にもなっているし」
神格化され祀られているのだ。
「それもかなり位の高い神様よ」
「日本で言うと神武帝か」
「流石に年代が違い過ぎるけれど」
神武帝はこの時代から見て四千年程前だ、まさに大昔だ。
「そうした方よ」
「建国の帝か」
「強いて言うならね、その前からモンゴルの歴史あるけれど」
「匈奴の頃か」
「そう、中国とかペルシャの文献に出て来るけれど」
「草原の遊牧民だな」
「紀元前五世紀位にはもういたから」
中国から見て北や西の大平原にというのだ。
「どうやらね」
「だから長城も築かれたな」
「始皇帝以前からね」
「始皇帝は長城を繋ぎ合わせたからな」
実は始皇帝が建築させたのではないのだ、始皇帝は各国がこれまで築いてきた長城を繋ぎ合わせて一つにさせたのだ。
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