夢幻水滸伝
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第八十八話 会津の攻防その十二
「武者小路君達に采配を任せる、いいな」
「わかりました」
「それではです」
「そのこと武者小路さん達に伝えます」
「そうします」
旗本達も日毬に答えた。
「ではです」
「そのことお願いします」
「ここは」
「任せてもらう」
日毬はまた答えた。
「そのことはな、では棟梁にもだ」
「はい、我々が適度に暴れ回り」
「その時にですね」
「城を囲む棟梁にも攻めて頂く」
「そうして頂くのですね」
「そうだ、そうしてだ」
そのうえでというのだ。
「城に入ってもらう、ではな」
「星のことはですね」
「松尾殿が」
「抑える」
こう言ってだ、日毬は軍勢の采配は武者小路達に任せ一路会津若松城の本丸に一人で駆けた、この時彼女の神具である三振りの刀がものを言った。
前に立ち塞がる敵兵達を次々と斬り捨て門を断ち切り敵の銃弾や弓矢、術までも弾き返しそうしてであった。
本丸の前まで来て本丸に入る門も両断したのを見てだ、宮沢は宮子と千歳に対して覚悟を決めた顔で言った。
「来ただな」
「松尾日毬さんね」
宮子も彼女を見て言った。
「関東一の剣豪と言われている」
「そだな、剣豪だけあって」
まさにとだ、宮沢も言うのだった。
「凄い腕だ」
「大嵐の中一直線に来たわね」
千歳はまだ気候を操っている、そのうえで台風の様な雨嵐の中をここまで来た日毬に驚いているのだ。
「凄い人ね」
「そだな、それでだ」
「あの人をどうするか」
「本丸に入ったわ」
今そうしてきた、両断し破壊した門を乗り越えて。
「じゃあ」
「あの人をどうにかしないとだ」
「この戦はね」
「ただでさえおら達にかなり不利になってるだ」
関東の軍勢は武者小路達が暴れていて門を開けてきている、そうして遂に幸田が率いる軍勢も場内に入った。
「この状況でだ」
「どう戦うか」
「それが問題よね」
「退くか」
この選択肢もだ、宮沢は出した。
「兵をまとめて」
「もう難しいわよ」
宮子の宮沢のその言葉に答えた。
「今はね」
「そだな、兵は城内のあちこちにいてだ」
「松尾さんが本丸まで来たから」
「もうだ」
それこそというのだ。
「兵をまとめて退くのは難しいだ」
「ええ、移動の術を使ってもね」
移動の術を使える兵達が仲間達と共にその術で退いてもだ。
「難しい状況よ」
「それならだ」
「ここはね」
「一つしかないだ」
自分達が執るべき手段はとだ、幸田は述べた。
「まんずおら達三人で松尾さんと戦って」
「あの人を退けて」
「それからだ」
日毬との勝負に勝ってからというのだ。
「それからだ」
「軍をまとめて」
「そうして退くだ」
「そこから再起ね」
千歳は退いてからのことに言及した。
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