夢幻水滸伝
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第八十八話 会津の攻防その十一
「ここは」
「天候を操るだか」
「地形も操ることが出来るけれど」
風水師はそれも出来るというのだ、天候や地形を操り戦うことが出来るのがこの職業の特徴なのだ。
「それでもね」
「ここはだな」
「ええ、お城を守るから」
「地震とかはだな」
「起こさないわ」
「なら雨とか嵐か」
「それを起こして」
そうしてというのだ。
「敵の空船を防ぐわ」
「わかっただ」
「私も術を使って戦うわ、回復用のお薬も用意しておいたし」
薬剤師としてとだ、宮子も言ってきた。
「だからね」
「万全にだな」
「戦えるわ」
「敵は砲撃と空爆で来ると思うだ」
これが宮沢の読みだった。
「おそらくそう来るだ」
「そうね、空船を使ってなら」
「その攻め方よね」
宮子と千歳もこう考えていた、尚東北や蝦夷では空船は少ない。普通の船よりもかなり高価であり国力がまだ低いこの二つの地域ではあまり持てていないのだ。
「やっぱり」
「そうしてくるわね」
「だから対空攻撃の用意にだ」
宮沢は千歳に対してまた言った。
「天候頼むだ」
「わかったわ」
千歳も確かな顔で頷いて答えた。
「それじゃあね」
「宜しく頼むだ」
「そういうことでね」
「今夜夜襲を撃退すだ」
宮沢は確かな声で言ってだ、そのうえでだった。
彼等も夜襲に備えた、だが彼等はこの時知らなかった。幸田達関東の軍勢が一体どうして攻めるのかを。
その夜実際に幸田達関東の軍勢は城攻めを行った、日毬達に精兵を乗せた空船が城の上空に出た。それを見てだった。
千歳はすぐに大雨と嵐を起こし空船からの砲撃や爆撃をさせまいとした、だがその嵐を見て日毬はすぐに言った。
「いいか、二の丸にまで行く」
「城のですね」
「そこまでですね」
「街には行かない」
城の中のそこにはというのだ、会津若松城は惣構えの城であり街も堀と壁、石垣で囲んでいるのだ。
「民達がいてもだ」
「刃を抜かぬ」
「それはしないことですね」
「それをした者は斬る」
日毬はこの言葉を先頭を進む空船の中から言った、数隻の空船達は彼女の采配の下高速で二の丸に向かって飛んでいる。
「いいな」
「民には手を出さず」
「そうしてですね」
「城の中で暴れますね」
「そうしていきますね」
「そうだ、武者小路君と有島君、遠藤君はだ」
彼等三人はというと。
「着陸し次第即座に城の門を開けていってもらう、そして私はだ」
「どうされますか」
「この度は」
「本丸に向かいだ」
そうしてというのだ。
「星の者達を降す」
「そうされますか」
「ここは」
「そうすればだ」
東北そして蝦夷の棟梁である宮沢達をそうすればというのだ。
「大きい、それでだ」
「東北と蝦夷がですね」
「我々の勢力になる」
「そうなるというのですね」
「だからだ、私は降下し着陸するとだ」
その時はというのだ。
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