夢幻水滸伝
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第八十八話 会津の攻防その十三
「それからね」
「そだ、青葉城に入って」
自分達の本拠地にとだ、宮沢は二人に述べた。
「態勢を立て直して」
「それからね」
「また戦うだ」
そうするというのだ。
「いいだな」
「わかったわ、それではね」
「今から三人でだ」
自分達でとだ、宮沢は千歳にも話した。
「松尾さんと戦うだ」
「ではね」
「すぐに行きましょう」
宮子と千歳は宮沢の言葉に頷きそうしてだった。
三人で本丸に一人で押し入り三振りの刀のうちの二本をそれぞれ左右の手に持ち二刀流で敵を切り倒し突き進む日毬の前に向かった、そして。
天守閣の前で日毬のところに来てだ、三人の中央にいる宮沢が言った。
「よく来られただ」
「ここに来た理由は一つだ」
日毬はその宮沢に応えた。
「貴殿達を倒して降してだ」
「この戦でか」
「東北、蝦夷との戦を終わらせる」
会津若松城での戦でというのだ。
「そうする」
「おら達と戦い降すか」
「そうだ、それでどうして戦う」
日毬は右手に持っている刀を下段、左手に持っている刀を上段に置いて構えた。右手に持っている刀は兼光、左手のそれは和泉守だ。背中には倶利伽羅丸がある。
「一人ずつか、それとも」
「一対一が本来の礼儀だども」
それでもとだ、宮沢は日毬に答えた。
「貴女は強いだ」
「だからか」
「そんでおら達は貴女に勝って兵をまとめないといけないだ」
そこから退く考えであることまでは言わなかった。
「そだからだ」
「だからか」
「三人で戦わせてもらうだ」
宮沢は日毬に答えた。
「それでだ」
「そのうえでか」
「そだ」
まさにというのだった。
「貴女に勝たせてもらうだ」
「わかった、ではだ」94
「これから勝負だ」
「受けて立つ」
日毬も応えた、そうしてだった。
三対一の勝負がはじまった、会津若松城の戦いはここで一つの佳境を迎えた。
幸田は主力と共に城内に入った、彼は城内に入ると兵達にすぐに言った。
「何度も言ってる通りにな」
「はい、民達にはですね」
「一切手を出すな」
「そうしろというのですね」
「ああ、もう城から逃げたい民はな」
彼等はというと。
「もうな」
「門からですね」
「出てもらう」
「そうしてもらいますね」
「民を傷付けるなんてな」
それこそというのだ。
「やっちゃいけねえことだからな」
「だからですね」
「民は絶対に傷付けるな」
「そういうことですね」
「空船も民家のとこりには着陸させなかったんでい」
これも民達を戦に巻き込まない為だ、兵つまり侍達がいる場所に空船を着陸させる様に言い日毬達もその様にした。
「だからおいら達もだ」
「民には手を出すな」
「むしろ逃がしてやる」
「そういうことですね」
「おう、それに残ってる民達もな」
見ればだった、幸田の懸念する彼等も。
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