夢幻水滸伝
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第八十八話 会津の攻防その十
「治める国と民はだな」
「公平にな」
「豊かにしていくな」
「ないがしろにすることはな」
それこそというのだ。
「おいらの考えじゃねえからな」
「だからだな」
「それはしねえ」
絶対にと言うのだった。
「このことを伝えるぜ」
「そういえば前に使者を送った時にはな」
「おいらこのことを言ってなかったな」
「うむ、そうだった」
「じゃあおいらが直接自分の口でな」
他ならぬ幸田自身がというのだ。
「東北と蝦夷の三人に言うぜ」
「そうしてか」
「あらためてな」
「共にやっていこうとか」
「提案するぜ」
戦の後でというのだ。
「そうするぜ」
「そうだな、私も無益な戦は好まぬ」
日毬もこう答えた。
「だからだ」
「東北、蝦夷との戦はな」
「出来る限りだ」
「この城で終わらせるべきだよな」
「そう思う、戊辰戦争は函館まで続いたが」
「そこまではな」
「やるものではない」
それはというのだ。
「戦なぞはな」
「やるにしてもな」
「迅速に終わらせる」
このことが最善だからだというのだ。
「戦で国土が荒れるし国力も消耗する」
「そう思うとな」
「戦は迅速だ」
「だから函館まで行くなんてな」
「それはだ」
まさにというのだ。
「避ける、ここで終わらせるぞ」
「じゃああれか」
ここで幸田が出した考えはというと。
「出来るなら東北と蝦夷の三人捕虜にするなり囲むなりしてな」
「そうしてだな」
「降る様に説得するか」
「そうするか」
こう日毬に言うのだった。
「それなら」
「出来ればいいな、術で撤退という奥の手もあるがな」
移動の術だ、一旦行った場所なら一瞬で移動出来るこの世界にある術の一つだ。
「だがそれでもだな」
「ああ、この城を攻め落としてな」
「決めるか」
「そうすることをな」
「考えているか」
「そうさ、じゃあその為にもな」
「これからだな」
「一気に攻めるぜ」
城の中に空船を強引に着陸させてというのだ、こう話してだ。
幸田は日毬達を空船に乗せて夜襲の用意に入らせた、そしてだった。
自身も攻める用意に入った、その夜宮沢は自分達を囲む敵の動きを見てすぐに宮子と千歳に言った。
「今夜来るだな」
「今夜なのね」
「夜襲仕掛けてくるのね」
「それでだ」
こう言うのだった。
「空船を使ってくるだな」
「それなら」
千歳はその話を聞いて言った。
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