オズのファイター大尉
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第六幕その五
「牛がいるのがね」
「普通だね」
「僕も最初あの牧場を見ておやって思ったよ」
トトにしてもです。
「バイソンが牧場にいるんだって」
「君はそう思ったんだね」
「うん、そしてオズの国らしいってね」
「そうも思ったんだね」
「だってね、オズの国だから」
それでというのです。
「不思議なことが一杯ある国だから」
「バイソンの牧場があってもかな」
「そう、不思議じゃないってね」
その様にというのです。
「思えるよ」
「君もオズの国の住人になっているからね」
「そうしたこともね」
「普通にあるってだね」
「思える様になったから」
だからだというのです。
「実際にね」
「そう考えたんだね」
「見てすぐにね」
「成程ね」
「あと僕は外の世界で見るものは白黒だけれど」
つまり色がわからないというのです。
「オズの国ではどの色もわかるよ」
「あっ、犬は実は色がわからないんだよね」
このことに神宝も言いました。
「そうだよね」
「そうみたいだね、エリカもそう言ってたよ」
「猫も色がわからないんだよね」
「外の世界だとね、けれどね」
「オズの国に入ったら」
「僕もエリカもね」
「色がわかる様になるんだね」
神宝はトトのその言葉に頷きました。
「オズの国だと」
「最初ドロシーと一緒に来た時あれって思ったんだ」
色がわかる様になったことについてもです。
「何これってね」
「驚いたんだ」
「そうだよ、色なんて何が何かね」
「わからなかったんだ」
「だって生まれてずっと白黒しかなかったんだよ」
その目に映るものはです。
「それで急に青とか赤とか緑とか見えたんだから」
「驚いたんだ」
「その時はドロシーに何も言わなかったけれどね」
「私もずっと知らなかったの」
ドロシーもというのです。
「トトが色がわからなかったって」
「そうだよね、外の世界では」
「それがオズの国だと」
「人間の言葉を喋ることが出来て」
それにです。
「色もね」
「わかって」
「そのことがどれだけ不思議か」
「トトにとっては」
「本当にね」
まさにというのです。
「素晴らしいことだよ」
「それもまたオズの国の不思議だね」
大尉が腕を組んで頷くお顔で言いました。
「動物も喋れて色がわかる」
「そう、だから世界樹に行っても」
「あの中の色がわかるね」
「よくね」
実際にというのです。
「僕もね」
「そうだよね」
「いや、色なんて」
またこう言うトトでした。
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