八条学園騒動記
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第五百七話 無抵抗その十一
「ちょっとね」
「気が引けるか」
「元々モンゴルだと海のものあまり食べないしね」
「さっき話したな」
「ええ、草原にいると」
海とは文字通り正反対の世界である、大地と海の違いは見事なコントラストに関係にある。
「もうね」
「海も見なかったな」
「そうだったから」
それでというのだ。
「ステラーカイギュウも食べることはね」
「平和だからだな」
「食べようと思わないわね、まあそう言っても」
それでもとだ、ナンは自分の隣にいるダンに笑ってこうも言った。
「羊は食べるけれど」
「平和な生きものでもだな」
「ええ、もう羊はね」
それこそというのだ。
「モンゴル人にとっては昔からの食べものだからな」
「食べない訳にはいかないな」
「そう、羊は主食よ」
そう言っていいものだというのだ。
「乳製品と並んでね」
「だから食うか」
「他の国で言うお米や麦ね」
連合ではこの二つが主食でそれこそ遊牧民でないつまり連合市民の圧倒的多数が毎日食べて暮らしている。
「そうした感じよ」
「羊の肉と乳がか」
「あと馬乳もね、昔は羊のお乳は飲まなかったの」
そして乳製品もというのだ。
「羊の品種回廊でお乳も美味しくなったから」
「飲んでいるか」
「搾りたてそのまま飲むことも多いわよ」
「それで腹を壊さないか」
「全然、それでお腹を壊す様なら」
それこそとだ、ナンはダンに話した。
「モンゴル人やっていけないから」
「そう言われると野生に思えてきたな」
「お話が戻ったわね」
「ああ、本当にな」
それこそと言ったダンだった、そのうえでナンを見て言った。そのうえで二人でベンチに戻ってまたくつろぎだした。
無抵抗 完
2019・1・9
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