八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百七話 無抵抗その十
「とてもな」
「そうよね、自然は過酷だからね」
「そうなるだろうな」
「やっぱりね、あと今カイギュウの一匹が狭いかもって思ったわね」
機械を見ればそうした感情が出ていた。
「それは不満みたいね」
「このカイギュウ達には狭いか」
コーナーは相当な大きさだ、それでもだというのだ。
「流石に」
「ステラーカイギュウって大きいからね」
見ただけでわかる大きさだった、見えば九メートル程の個体もある。
「実際に」
「コーナーは二百メートルあるが」
「それでもね」
「大きさが大きさだ」
それ故にというのだ。
「だからな」
「狭いって思ってるのね」
「元々一つの場所からあまり動かない生きものだが」
ダンの言う通りこれと言って動かない、だからこそ見ていてのどかにも感じるのだ。
「しかしな」
「それでもよね」
「巨体だからな」
「二百メートルのコーナーがあってもね」
「狭いと感じるのかもな」
「そういうことね」
「俺達の家なら広いが」
人間ならというのだ。
「幅が二百メートルもあればな」
「縦横でね」
「身体の大きさがね」
「全く違う」
「本当にそう考えるとね」
「カイギュウ達には狭くてだ」
「今思ったのね」
「実際にな、それとだが」
「それと?」
「今はオオウミガラスも一緒だ」
自分達のコーナーが改装中の彼等もというのだ。
「それなら余計にだ」
「それね」
「オオウミガラスにとっては充分な広さだろうが」
見れば彼等は気楽な感じである、そうして遊んで食べている。
「カイギュウ達にとってはな」
「違うわね」
「彼等がいる分な」
「狭く感じているわね」
「そうだろうな」
「ううん、ストレス感じてるのね」
「狭いと思う分な、ただな」
ダンはまた機械を見た、そのうえでナンに話した。
「あまり感じていない感じだな」
「ストレスを感じていても」
「それでもな」
まだというのだ。
「少し位だな」
「そうだといいけれどね」
「ああ、こうした平和な生きものにストレスを与えることはな」
「よくないわよね」
「そう思う」
「何か食べることも」
ステラーカイギュウは連合では食用として飼育もされている、革も脂も乳も使われる非常に便利な家畜とされている。
ページ上へ戻る