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夢幻水滸伝

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第八十七話 青葉城の会見その十五

「近所に覚醒剤やってる人がいてな」
「恐ろしいことになっていたな」
「幻覚見て変なこと喚いていつも漏らしててな」
 覚醒剤を使用すると括約筋も緩んでしまうという、それでそうしたこともしてしまう様になるという。
「歯も髪の毛もボロボロになってな」
「身体も壊れていったか」
「最後幽鬼みたいになってたぜ」
「そこまでなっていたか」
「それで最後朝道に倒れて死んでたよ」
「夜に徘徊でもしていたか」
「どうもそのまま寝てな、冬にな」
 その寒い季節にそうしたというのだ。
「それで凍死したみてえだな」
「無残な結末だな」
「一回打ったら一週間寝ないで動けるらしいにしても」
「一週間も寝ないとどうなる」
 日毬はその状態についてすぐに指摘した。
「一日で身体への負担は相当だ」
「それが一週間だからな」
「恐ろしい負担になっている」
「そんなことをさせる薬自体使うこともな」
「一回で大変なことになる」
 このことは自明の理だというのだ。
「確実にな」
「だから関東じゃ日本の他の勢力と同じでい」
「麻薬は絶対に禁制だな」
「おう、そうしてるしな」
「これからもだな」
「そこは守っていくからな」
 このことはほぼ全ての勢力で守っている、どの星の者達も麻薬の恐ろしさをよく知っているからだ。
「だからそっちの遊びはな」
「禁じていくな」
「それで止めるぜ」
「当然のことだ、薬を使うなぞ」
 溺れる以前にとだ、日毬も幸田に強い声で答えた。
「もっての他、だからな」
「使わねえな」
「私自身使わない」
「そうしなよ」
「そんなものを使う位なら」
 日毬はあえて言った。
「酒だ」
「日毬ちゃんも飲むしな」
「今晩も飲む」 
 こう言って実際にだった、日毬はこの夜酒を飲んだ。日本酒を豆腐や刺身を肴に静かにだがうわばみの様に飲んだ、それが日毬の遊びだった。


第八十七話   完


                  2018・10・23 
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