夢幻水滸伝
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第八十八話 会津の攻防その一
第八十八話 会津の攻防
宮沢は関東からの使者が青葉城に来たと聞いてすぐに宮子と千歳と三人で話した、そのうえで言うのだった。
「どうするかだ」
「絶対にあれね」
宮子が宮沢に述べた。
「私達に降るかどうか」
「それの話だな」
「ええ、間違いないわ」
このことはとだ、宮子は言い切った。
「それで使者の人が来たのよ」
「ではどうするかだな」
「ええ、降るか」
「戦うか」
「どちらかを選ぶことになるわ」
「そだら」
すぐにだ、宮沢は宮子に答えた。
「何もしないで降るのはだ」
「宮沢君としてみれば」
「何か気が済まないだ」
こう言うのだった。
「やっぱりあれだ」
「戦をしてそのうえで」
「おら関東まで手に入れることは考えてないだが」
それでもというのだ。
「やっぱり何もせずに降るのは」
「納得いかないわね」
「そだ」
「そうよね、私も折角一角の勢力になったし」
千歳も言ってきた、彼女にしてみれば大きな座布団の真ん中にちょこんと座っている。
「それじゃあね」
「一戦交えないとだな」
「何か納得出来ないかも」
「そだか」
「ええ。ただ私戦はね」
どうしてもとだ、千歳は宮沢にこうも言った。
「好きではないから」
「一戦でだな」
「終わらせられたら」
「それでいいだか」
「二戦三戦になると」
つまり戦が長引けばというのだ。
「どうもね」
「嫌だな」
「ええ、それはね」
「私もよ。何か一戦も交えずに降ったら」
それならとだ、宮子も言ってきた。
「どうもね
「それでだな」
「降った後扱いが悪くなるっていうか」
「低く見られるだな」
「待遇が悪くなると思うわ、私達はともかくとして」
「民達がだな」
「ほら、戦前そうだったっていうでしょ」
ここで宮子は自分達の世界の話をした。
「あの半島を併合してそちらにお金も人材も送って」
「ああ、東北はだな」
「開発されなくてね」
「長い間貧しかっただ」
「そうなったっていうし。こっちでも関東が優先されて」
関東の方がそうしてというのだ、地元の者達を最初に考えて。
「それでね」
「東北そして蝦夷の開発が遅れるとだ」
尚北海道は彼等の世界では優先的に開発されていた、臣民の移住先として積極的にそうされていたのだ。
「それがだ」
「民の不幸になるから」
「それは防ぐだ」
「ええ、そうならない為には」
「棟梁のおら達が侮れられないことだ」
まさにというのだ。
「だからだ」
「戦ってそうして」
「意地を見せるだ。だが」
ここでだ、また言った宮沢だった。
「兵達は無駄に傷付けさせないだ」
「だからなのね」
「ここは私達が」
「そだ、前面に出てだ」
そうしてというのだ。
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