夢幻水滸伝
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第八十七話 青葉城の会見その十四
「城をお忍びで出てな」
「そこでそれを言うかい?」
「言う、毎日の様に出ているな」
「わかってるんだな」
「わからない筈がない」
日毬はその鋭い目でまた述べた。
「見てわかる」
「やれやれだな」
「いつも二人で出ているな」
「麻友っちとな」
「それも遊びか」
「おいら達のな、デートだよ」
それだとだ、幸田は日毬に言った。
「それをしてるんだよ」
「それが貴殿の一番の遊びか」
「おう、傾奇者としてな」
傾奇者は武士とはまた違う、傾いているつまり突っ張っているということだ。それで幸田もなのだ。
「そうしてるぜ」
「そうだな、だから遊ぶな」
「傾奇者は遊ぶことも仕事だからな」
「そうした考えはないと思うがな」
「それは日毬ちゃんが剣客だからだな」
剣士とも言う、この職業だからだというのだ。
「真面目な職業だからな」
「傾奇者と違ってか」
「それで遊びはしねえんじゃねえのかい?」
「遊びというと」
どうかとだ、日毬自身こう述べた。
「言われてみると」
「したことねえかい」
「酒は好きでゲームはするが」
しかしというのだ。
「だが博打もしないし無駄だと思う様な」
「そうした遊びはしねえな」
「うむ」
その通りという返事だった。
「私はな」
「そうだよな、まあ遊びは人それぞれだよ」
「だからいいか」
「日毬ちゃんがどんな遊びをしようともな。ただな」
「ただ。何だ」
「破滅するみたいな遊びは止めるぜ」
そこは真剣に言う幸田だった。
「遊びで身を滅ぼすとか論外だからな」
「だからか」
「おう、これは関東の他の奴等もだけれどな」
「仲間だからか」
「そうさ、仲間つまり友達でな」
だからだと言うのだった。
「そうした相手だからな」
「遊びで身を滅ぼす様ならか」
「止めるぜ」
絶対にという言葉だった。
「そうするからな」
「そうか、その心もわかった」
「薬、こっちの世界にもあるしな」
幸田は嫌な顔で麻薬と呼ばれるそれの話もした。
「しっかりとな」
「阿片なり何なりとな」
「あれは駄目だぜ」
「絶対にだな」
「一回やったら終わりだ」
「人でなくなるな」
「おいら中学の時に見たんだよ」
つまり東京にいる時にだ。
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