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夢幻水滸伝

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第八十七話 青葉城の会見その十二

「出て来た時はな」
「これまで通りにな」
「誰かに行ってもらうぜ」
「当然私も行く」
「ではな、それで最近だが」
「どうしたんでい」
「うむ、この世界でも本朝では同性愛は普通だが」
 日本では長い間そうであったし今でも同性愛が罪に問われることはない。特殊な嗜好として認識されている位だ。
「しかしな」
「同性愛がどうしたんでい」
「私は最近おなごに言い寄られている」
 今度は困った顔での言葉だった。
「困ったことにな」
「へえ、そうなのか」
「私にその趣味はない」
 日毬は困った顔のまま述べた。
「だからだ」
「困ってるんだな」
「そうだ、どうしたものか」
「では男と付き合ったらどうでい」
「それも駄目だ」
 日毬は幸田の提案にきっぱりと答えた。
「私は交際は一人と決めている」
「あれか?一生か」
「そうだ、夫となる方とだ」 
 まさにその者と、というのだ。
「交際してだ」
「結婚してか」
「一生添い遂げたい、床もだ」
「その人とだけか」
「操を守っていきたい」
 こう言うのだった。
「そうしていくと誓っている」
「成程な、しかしな」
「どうしたのだ」
「いや、男に操を立てるのはいいけれどな」
 それでもとだ、幸田は日毬に考える顔で話した。
「女は別だろ」
「同性愛はか」
「だからそっちで何あっても浮気にはならねえだろ」
「おのことおなごは別だからか」
「そうだろ、だから別におめえさんがこっちの世界の女の子達と色々あってもな」
 それでもというのだ。
「別にな」
「操の問題にはならないか」
「そうだろ」
 こう言うのだった。
「おいらはそう思うけれどな」
「そうした考えになるか」
「おいら的にはな」
「ううむ、だが私は同性愛自体がだ」
 そもそもというのだ。
「趣味ではない」
「普通の趣味なんだな」
「だからだ」
「言い寄られてもなんだな」
「困る」
 一言での返事だった。
「それはな」
「そこは難しいところだよな」
 幸田もその話を聞いて述べた。
「やっぱり」
「うむ、しかし貴殿もだ」
「ああ、おいらも同性愛の趣味なくてな」
 すぐにだ、幸田も答えた。
「女の子もな」
「一筋だな」
「麻友っちだけだぜ」
「そうだな」
「そっちの遊びはしねえんだよ」
 あくまで麻友だけであり一途だというのだ。
「酒に食いものはしてもな」
「そうだな、それに博打はしてもだな」
「無駄金になると思ったらな」
 それでというのだ。
「しない様にしてるぜ」
「つまり溺れていないな」
「博打で蔵建てた奴はいねえってな」
 幸田は日毬に昔から出ている言葉を出した。 
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