夢幻水滸伝
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第八十七話 青葉城の会見その八
「東海や甲信、北陸も考えられるだが」
「まずうちよね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「関東から見て入り口のあそこを固めるだ」
「会津若松城をなのね」
「そだ、幸いあの城は堅固だ」
「私達の世界と一緒で」
「惣構えで城の造りもしっかりしてるわ」
東北の抑えとりわけ幕府が潜在的脅威と見ていた仙台藩への付城として幕府が築いた城だ、幕府はそこに親藩の中でも特に信頼している会津松平家松平正之と彼の子孫を置いたのだ。この会津藩が幕末で重要な動きを見せた。
「だからこそだ」
「余計になのね」
「あの城を固めるのね」
「そだ」
まさにというのだ。
「そうするだ」
「それで東国が攻めてきても」
「その時も」
「そだ、固めるだ」
まさにと言ってだ、そうしてだった。
宮沢は二人に会津若松城をどう固めていくのかを話した、そうしたことも含めて政を進めていっていた。
東北と蝦夷の動きは江戸の幸田も見ていた、それで麻友に言った。
「東北と蝦夷が統一したけれどな」
「それでよね」
「一角の勢力になったな」
「ええ、本当にね」
「それで会津の城を固めだしたって話だ」
「会津若松城だね」
「ああ、おいら達が攻めてくるって思ってるな」
幸田は既に彼等のその考えを読んでいた。
「それで先にだよ」
「固めてるね、けれどだよね」
「ああ、実際日毬ちゃんと話してるけれどな」
関東の武を第一に司る彼女と、というのだ。
「まずは東国統一ってことでな」
「東北そして蝦夷をだよね」
「攻めるかこっちに入る様にな」
「話してたけれどな」
それがというのだ。
「あっちも馬鹿じゃねえからな」
「もうこっちがそうしてくると思って」
「備えてきてるな」
「そういうことだね、けれどだよね」
「それで諦めるかっていうとな」
敵が守りを固めている、それでというのだ。
「こうした時はねえだろ」
「そうだよね、やっぱり」
「だからな」
「会津若松城を固めていても」
「攻めるとなればな」
その時はというのだ。
「攻めてな」
「攻め落として」
「そこから先に進むぜ」
「それで東国統一だね」
「戊辰戦争みたいな進み方でな」
幕末の最後の一幕となったこの戦争の様にというのだ。
「会津から仙台、そしてさらに北に進んでな」
「そして蝦夷にも進むね」
「五稜郭があってもな」
それでもというのだ。
「そこも攻め落としてな」
「蝦夷も手に入れて」
「東国統一だよ、けれどな」
「そこまで戦う気はないよね」
「ああ、それだと時間がかかってな」
そうしてとだ、幸田は麻友に話した。
「人も大勢死ぬしな」
「生き返るけれどね」
「痛い思いする人がいてな」
それでというのだ。
「銭もかかるだろ」
「戦ってのは本当に銭かかるよね」
「だからな」
それでというのだ。
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