夢幻水滸伝

「大まかなところは出来てるけれど」
「それでもね」
「細かいところがね」
「どうも出来てなかったわね」
「おら政はどうもだ」
　自覚はしているのだった。
「不得意だ」
「農業も商業もしてるけれどね」
「漁業も林業も」
「けれどある程度で」
「細かいところがどうも」
「それでだ、今痛感してるだ」
　こう二人に言うのだった。
「おらの政はよくないだ」
「悪いって程じゃないわよ」
　宮子はその宮沢に秋田の訛りの言葉で述べた。
「そこまではいかないわ」
「それならいいだが」
「ええ、だからおおまかなところは出来ているから」
　それでというのだ。
「まだね」
「悪政とはいかないだか」
「別に税高かったりしてないし」
　千歳も言ってきた。
「ちゃんと国と民のことを考えてて」
「政をしてるからだか」
「ええ、至らないところがあっても」
　それは事実にしてもというのだ。
「まだね」
「悪政とまではいかなくてだ」
「自分を卑下することもないわよ」
「まあ三人でやっていってるから」
　宮子がまた言ってきた。
「だからね」
「至らないところはだか」
「一緒にやっていけばいいのよ」
「宮沢君軍事のことは得意だから」
　千歳はこのことを指摘した。
「だからね」
「おらは基本そっちだか」
「それでどう？」
「いいわね」
　宮子は千歳のその考えに賛同の意を示した。
「それぞれの得意分野をね」
「基本はね」
「やっていって」
　それでというのだ。
「三人でね」
「東北と蝦夷の統治をしていくのね」
「それでいいと思うけれど」
「そだな、実はだ」
　ここでまた宮沢が言ってきた。
「おら今は会津若松城を固めたいだ」
「あの城ね」
「あそこをなのね」
「そだ、関東が気になるだ」
　それ故にというのだ。
「今関東は統一されただ」
「三年生の幸田さんよね」
　宮子はここではまず自分達の世界でのことから話した。
「こっちの世界では天の星の」
「そだ、何でもかなりの人だそうだ」
「関東をあっという間に統一して」
「凄く上手に治めてるそだ」
「そうらしいわね」
「幸田さんのことは私も聞いてるわ」
　千歳も言ってきた。
「政も戦も強くてしかも野心家」
「日本統一を掲げてるだ」
「それでそれからのこともね」
　即ち世界の統一もというのだ。
「考えてるだな」
「それでなのね」
「関東が次どう動くかだが」
「多分だけれど」
　宮子は宮沢に考える顔で述べた。
「うちよね」
「そだ、まずはうちを飲み込んで」
　そうしてというのだ。
「後顧の憂いをなくして東国全体の力でだ」
「西に攻めて行こうってね」
「考えるだ」
「だからこそ」
「こっちに来ると思うだ」
　そうしてくるだろうというのだ。