八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百六話 イッカククジラの牙その八
「あとはどんな料理にしたら美味いか」
「そうしたことが書いてあったの」
「人を襲うとか書いてある図鑑は読んだことがない」
「それ全部日本の図鑑よね」
「いや、琉球のだ」
「琉球でも日本と同じでしょ」
同じ日系国家だからとだ、ナンは突っ込みを入れた。
「そうでしょ」
「そう言われるとな」
「だったら少なくとも蛸についての認識は一緒よね」
蛸を食用と考える国同士だからだ。
「モンゴル人って元々海産物には疎くて特に私は草原にいるから」
「余計にか」
「そう、蛸を食べることも殆どないし」
「図鑑でもそうしたことは書かないか」
「というか日本じゃ蛸は食べるものなのね」
「ミズダコもな」
人を襲うという認識なぞ皆無でだ。
「実際に酢だこや刺身にすると美味しい」
「そうなのね」
「俺の家の水族館でもそうだ」
「ミズダコいるのね」
「説明にどういった料理が美味しいか書いてある」
危険な生物とは一切書かずにだ。
「皆それで納得している」
「水族館でもなのね」
「そうだ、そしてだ」
そのうえでと言うのだった。
「水族館の中で蛸料理も売っている」
「ひょっとしてそのミズダコを」
「いや、水族館にいるミズダコじゃない」
ダンはこのことは断った。
「別のミズダコだ」
「同じ種類でも個体が違うのね」
「流石に水族館にいる個体は料理にして出さない」
「まあそうよね」
「ミズダコは刺身、マダコはたこ焼きだ」
「そっちの蛸も食べるのね」
「うちの水族館の名物だ」
そのミズダコの刺身もマダコのたこ焼きもというのだ・
「琉球に来たら寄ってくれ」
「それじゃあね」
「あと烏賊も食うがな」
「烏賊もね」
「映画だと大きな烏賊も出て来たりするな」
蛸もそうだが、というのだ。
「だがそちらもだ」
「日系国家ではなのね」
「美味いものでしかない」
「じゃあ人を襲う種類の烏賊も」
「ミズダコ位の大きさだとな」
大体全長三メートル位だ、蛸としては大型だ。
「食っている」
「やっぱり食べるのね」
「烏賊の何が怖い」
「それで蛸もなのね」
「簡単に捕まえられてだ」
勿論それでは終わらない。
「その後でだ」
「食べるのよね」
「それも美味しくな」
「そうなるのね」
「あとラッコの餌にもなる」
この海にいるイタチ科の生きものの、というのだ。
「俺の家の水族館にもこの学園の水族館にもいるがな」
「ラッコ可愛いからね」
「可愛いが実はかなり食う」
「烏賊も食べるの」
「魚も海胆も貝もな」
そうしたもの全てをというのだ。
「ふんだんに食べてな」
「お金かかりそうね」
「実際に結構かかっている」
「そうなのね」
「それに見合うだけの人気があるがな」
即ち集客には役立っているというのだ。
ページ上へ戻る