八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百六話 イッカククジラの牙その九
「おつりが来る位にな」
「それだといいわね」
「しかしな」
「お金はかかるのね」
「ラッコもな」
「そういえばイタチってよく食べるっていうわね」
ナンもこのことは知っていた。
「ミンクとかフェレットも」
「そしてラッコもな」
この生きものもとだ、ダンはまた話した。
「だからかなりだ」
「食費かかるのね」
「ステラーカイギュウよりましだがな」
「ステラーカイギュウは大きいからね」
「海草しか食べないがな」
海草を主食としている極めて稀有な生物でもある、地球ではそうした哺乳類はこのカイギュウだけだった。
「しかしな」
「身体の大きさが凄いから」
「だからだ」
その為にというのだ。
「本当にな」
「食費はかかるのね」
「そうだ」
ステラーカイギュウもというのだ。
「人気があってやはり元は取れるが」
「元が取れるのって大きいわね」
「経営しているとな」
どうしてもというのだ。
「それが第一だ」
「人間お金がないと生きていけないってことね」
ナンもこの現実を認識した。
「シビアね」
「それは言うまでもないな」
「ええ、そう考えていくと」
「ラッコもステラーカイギュウもな」
「どうして水族館にいるか」
「学問や種の保存もある」
そうした高尚と言っていい目的も確かにあるというのだ、ダンはこちらを否定することもしなかった。
「しかしな」
「経営側としては」
「そこもだ、だが理想はな」
「飼育する理想?」
「それはダイオウグソクムシだ」
この生物だというのだ。
「あれだ」
「あの何年も食べないっていう深海生物ね」
「俺の家の水族館にはいないがな」
「いないの」
「まだ手に入れていない、だがな」
「あの生きもの本当に何年も食べないのよね」
「それでも平気だからな」
この時代でもこのことで有名である。
「それでお客さんが来てくれるならな」
「施設の問題があっても」
「有り難い、設備の問題も大きいが」
こちらの費用もというのだ。
「食費はな」
「一番大きな問題ね」
「生きものは食う」
ダンはこのことを強い声で言った、ここで二人はステラーカイギュウのコーナーの前に来た、見ればオオウミガラス達は普通に共存して楽しく暮らしていてカイギュウの背中に載ったりして遊んでもいる。
そしてカイギュウ達は実際に食べていた、それも大量に。
「あれだけ食うとな」
「海草どんどん食べてるわね」
「食費もかかる」
「ううん、モンゴルの草原だと」
「草がないとか」
「草のある場所までね」
そこまでというのだ。
「移動するし草が少ないと」
そうした地域があると、というのだ。
ページ上へ戻る