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夢幻水滸伝

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第八十六話 蝦夷地からその八

「見付かったけれど数はね」
「相当に少なく」
「殆どいない」
「そうした状況だからですか」
「山の草食の獣が増えて」
 鹿等がだ、雑食だが狐や狸もここでは入る。
「田畑まで出てきてね」
「やはり田畑を荒らす」
「そうなっていますか」
「そうした状況ですか」
「そうなの、だから」
 そうしたことを知っているからだというのだ。
「私としてはね」
「そうしたことはですか」
「気をつけていく」
「完全に滅ぼしはしないですか」
「その和を忘れると」
 それでというのだ。
「かえって厄介なことになるから」
「田畑を荒らされて」
「そうなってですね」
「牧場の家畜だって襲われるわよ」
 こちらの心配も出て来るというのだ。
「そうなるわよ」
「田畑だけでなく」
「牧場もですか」
「それは気をつけねば」
「両方荒らされると厄介です」
「そうならない為に」
 だからこそというのだ。
「ここはね」
「気をつけていきます」
「今は」
「そうさせてもらいます」
「獣、魔物退治は程々に」
「その様に」
「お願いするわね、あと蝦夷地の南の端まで手に入れたし」
 即ち函館までだ、この街は本州から見れば北海道への入り口だが北海道から見れば南の端で本州への玄関口なのだ。
「西もそうしたし後はね」
「より東にですね」
「そして西に」
「このまま勢力を拡大させていきますね」
「そうしていきましょう、そして」 
 そのうえでというのだ。
「蝦夷地を全部掌握するわ、そして島もね」
「島もですか」
「そちらも手に入れていく」
「そうお考えですか」
「その辺りの寒さはもうここ以上で」
 自分が今いる札幌よりも寒い、千歳もこのことはわかっている。
「それに人も殆どいないけれど」
「蝦夷の島といいますと千島の方ですか」
「あと樺太ですね」
「そちらもですね」
「あそこも島ですから」
「もうそのことがわかってるのね」
 北方領土の四島それに千島列島と樺太が全て島であることは江戸時代にわかったことだ、最上徳内や間宮林蔵の功績である。その為間宮海峡という地名も残っている。
「この世界ならではね」
「寒さに強い者が行って」
「それに空船もありますし」
「ですからそこまで探検も出来まして」
「それで、です」
 そうした島々のこともわかったというのだ。
「そちらもわかてっています」
「島であることも」
「そうなのね。私達の世界じゃその辺り強引にロシア領になってるけれど」
 千歳も北方領土は日本の領土と思っているのだ。
「今のうちにね」
「我々が手に入れてですか」
「領土にしますか」
「そうしますか」
「ええ、この世界のロシアも物凄い人がいるから」
 氷帝のことはもう千歳の耳にも入っている、神星の一人であり有能かつ冷徹な恐るべき統治者である彼女のことが。
「先に手に入れてね」
「掌握して」
「我々の領土にして守る」
「そうしておきますか」
「ええ、後々向こうが攻めて来るかも知れないけれど」
 それでもというのだ。 
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