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夢幻水滸伝

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第八十六話 蝦夷地からその七

 民達に除雪に使うシャベル等を勢力として買って手渡した、また暖かい家を考えそれに建て替えていく様にした、金はかなりかかったが。
「これも政だからね」
「金が幾らかかろうともですか」
「構わないですか」
「幾らとはいかないけれど」
 それでもというのだ。
「こうした時に使わないとね」
「金を持っている意味がない」
「そうだというのですね」
「そうなのですね」
「ええ、だから使って」
 そうしてというのだ。
「蝦夷地の人達が落ち着いて暮らせる様にしましょう」
「わかりました」
「それではですね」
「これからもです」
「勢力を拡大させると共に」
「政も進めていきますね」
「そうしていくわ」
 こう言って実際にだった、千歳は蝦夷地の自然の驚異から民達を護る様にもしていった。すると他の街や村もだ。
 むしろ自分達から降ってきた、それで千歳もかえって驚いた。
「意外な展開ね」
「そう言われますか」
「他の街や村の方からこちらに加わって来るのは」
「そのことは」
「本当に戦も」
 それもというのだ。
「覚悟していたけれど」
「それがですね」
「むしろ相手の方から降ってくる」
「このことが意外ですか」
「ええ、こうなるなんて」
 本当にというのだ。
「不思議よ、ただね」
「ただ?」
「ただといいますと」
「魔物は確かに問題で倒していっているけれど」
 それでもと言う千歳だった。
「減り過ぎてもよくないのよね」
「魔物は人を襲うだけではないからですね」
「他の獣達も喰らう」
「だからですね」
「それをですね」
「そう、そこをね」
 減らしても生態系は崩さない様にしてというのだ。
「考えてやっていきましょう」
「程々ということですね」
「要するに」
「魔物を退治しても完全に滅ぼさない」
「それが大事ですか」
「そうなのよね、私の世界だとね」
 千歳はまた自分が起きた時の世界のことを話した。
「北海道では羆が少なくなって」
「問題になっていますか」
「そうなのですか」
「とんでもない事件もあったけれど」
 所謂羆嵐という明治の頃の事件をだ、千歳は思い出しつつ話した。北海道民として幼い頃に聞かされた震え上がる話である。
「絶滅したらね」
「それはそれで、ですね」
「自然の和が乱れる」
「そうなるのですね」
「熊は鹿とかも食べるけれど」
 雑食なのでそうしたものも食うのだ。
「鹿が増えて田畑を荒らすから」
「だからですか」
「棟梁の世界では問題になっていますか」
「そうなのですね」
「そうなのよ、本土だとね」
 千歳はこちらの話もした。
「狼が殆どいなくなったのよ」
「狼が、ですか」
「そちらではそうなったのですか」
「それはまた」
「この前見付かるまで絶滅したって言われていたの」
 千歳達が通っている八条学園の大学に所属している教授が発見するまではそう思われていた、ドリトル先生のこの物語はまた別の話である。 
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