八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百十八話 運動会の昼食その九
「本当に」
「はい、ですが」
「それでもですね」
「彼等は確かにです」
「努力していて」
「ヒトラーは一度はドイツを救いました」
畑中さんはこのことも話してくれた。
「世界恐慌で破滅状態になっていたドイツを」
「とんでもないインフレと失業率に陥って」
「経済は完全に崩壊しましたが」
それがというのだ。
「ヒトラーは確かに救いました」
「それは事実でしたね」
「政策は当たりましたが彼自身勤勉に働き」
「その結果ですね」
「ドイツは救われました」
ヒトラーによってだ。
「そうなりましたので」
「若しヒトラーが努力をしなかったら」
「ドイツは救われませんでした」
「そうだったんですね」
「少なくともヒトラーは怠け者ではなく」
「努力も怠らなかったんですね」
「そう思っていいかと。やはり人はです」
モーツァルトやヒトラーに限らずというのだ。
「何といいましても」
「努力してこそですね」
「実りますし」
「幸せも手に入るんですね」
「何も努力せずにいるなら」
「家庭もですね」
「幸せに保てないです」
「だからですね」
「本当に努力は大事で。止様も」
親父もというのだ。
「そちらの努力は欠かしておられないです」
「そうなんですよね、実は」
僕は息子だからよくわかる、親父はあれでだ。
「遊び人と思われていても」
「努力は欠かしておられないですね」
「何事にも必死なんですよ」
家事にも手術にもだ、そして遊びにもだ。
「全身で正面から向かいますね」
「それが止様ですね」
「はい、ただ破滅的かといいますと」
それはだ。
「違いますね」
「終戦直後の無頼派の作家の人達とは違いますね」
「坂口安吾が特に凄かったっていいますね」
無頼派というと太宰治だけれどだ、この人が代表格だ。
「お酒に麻薬にでもう死ぬんだってい感じで」
「はい、遊んでいたそうですね」
「私は当時の東京にはいませんでしたが」
坂口安吾は東京にいた、太宰治もだ。銀河のバーであるルパンという店によく通っていて飲んでいたらしい。
「お話は聞いていました」
「無頼だったとですか」
「そうした破滅的な感じは」
「親父にはないですか」
「当時の世相は希望がありませんでした」
繻子円、もっと言えば敗戦直後はだ。
「全く」
「敗戦でしかも空襲で日本中焼けていて」
「産業は崩壊し多くの戦死者も出ていて」
「とんでもない状況でしたね」
「はい、一体どれだけの人が飢え死にするか」
それこそだったのだ。
「わかりませんでした」
「そんな状況だったので」
「破滅的にもなっていました」
「そうだったんですね」
「ですが」
それがというのだ。
「止様にはです」
「破滅的なのはないですね」
「幾ら遊ばれても」
「家のことは忘れないですからね」
勿論僕のこともだ。
「親としてはいいんですよ」
「そして努力もされているので」
あれだけ女遊びをしてお酒を飲んでもだ。
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