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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百十八話 運動会の昼食その八

「家庭人でいられるのです」
「そうなんですね」
「今は義和様と離れられていますが」
 そうして暮らしているがというのだ。
「それでもです」
「あくまで、ですね」
「はい、家庭人としていられるには」
 まさにというのだ。
「努力が必要です」
「そうしてこそ幸せな家庭も築けるのですね」
「そうなのです」
「ううん、そう思いますと」
「止様も努力されていて」
 そしてというのだ。
「実っているのです」
「努力は必ず実る、でしょうか」
「その場ではなくとも」
「やがて出たりしますか」
「自分でも気づかないうちに。いいことへの努力は」
 それならばというのだ。
「いいこととして何時かです」
「実るんですね」
「出て来ますから」
「すべきで親父もですね」
「されています。モーツァルトは天才ですが」
 畑中さんもお握りを食べている、そうしつつ僕に話してくれた。九十歳以上だというのに考えてみればかなりの食欲だ。
「どうして天才だったか」
「ただ凄い才能を持っていただけじゃなかったですね」
「作曲をしないと苦しいまでにです」
「いつも作曲をしていたんですよね」
「まさに作曲中毒でした」
 それがモーツァルトだったのだ。
「楽譜が見えていると言っていましたが」
「そこまで音楽をいつも考えていた」
「つまり努力を努力と思わない」
「そうした人だったんですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「ですから」
「天才もですね」
「努力しています、ただ天才はです」
「努力と思っていないんですね」
「最初からです」
「努力以前ですね」
「作曲していないと苦しいなぞ」
 実際にモーツァルトの作品数はかなりのものだ、六歳から作曲していたにしても僅か三十五歳で夭折したとは思えない位だ。
「常に作曲している様なものです」
「いつも机にいて勉強している様なものですね」
「それか常にトレーニングを積んでいるか」
「本当に努力以前ですね」
「それがモーツァルトで」
「天才ですね」
「はい、ですから天才もです」
 そう呼ばれる人達でもというのだ。
「励まないとです」
「何も実らないですね」
「独裁者も然りです」
 俗に悪く言われる人達もというのだ。
「ヒトラーもスターリンも勤勉でした」
「ああ、あの人達も」
「殆ど寝ずにです」
「仕事をしていたんですね」
「スターリンの睡眠時間は一日四時間だったとか」
 多分人間の身体がもつギリギリの睡眠時間だ。
「ヒトラーは毎日明け方まで仕事をし九時までには起きていました」
「やっぱり殆ど寝ていないですね」
「とにかくです」
「独裁者も努力していますか」
「これは悪い例かもしれないですが」
「まあヒトラーもスターリンも迷惑ですね」
 そう言うしかない人達だ、特に隣国にいれば有能で野心的で性格的に絶対に信用出来ない独裁者程怖い相手はいない。 
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