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八条学園騒動記

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第五百三話 慣れることその八

「壮絶でしょ」
「それ書いた人天才だね」
 ジョルジュも呻って言うことだった。
「そういえば源氏物語も」
「ええ、義母でしょ」
「源氏の君が好きだった相手はね」
「お父さんの奥さんだから」
「何か実のお母さんに似ていて」
「何かこっちもね、しかもあの人ロリ趣味もあるし」
 源氏の君にはというのだ。
「小さな可愛い女の子引き取って育てて」
「やってたね」
「あれもね」
「凄いね」
「当時の日本人って普通にそうしたこと考えてたのね」
「同性愛、男の娘、男装の麗人に義母のロリータ」
「今のこうした文化を書いていたのよ」
 この時代から見て二千年は前にというのだ。
「既にね」
「恐ろしい国だね」
「全くよね、ただ実際にそうした場面の描写はないから」
「ジュリアは平気なんだね」
「そんなとんでもなお話でもね」
「そのことはわかったよ。ただね」
 ジョルジュはジュリアのそのことに納得したうえでさらに述べた。
「どうやら昔の日本人の想像は今の人レベルだったんだね」
「そうよね、もう何でもありよね」
「男の娘なんて想像するとか」
 この時代から見て二千年も前にというのだ。
「物凄いよ、同性愛ハーレムの日記にしても」
「ちなみに藤原頼長さんは結局ね」
「結局?」
「実のお兄さんとの政争に負けてね」
「ハーレム築いたのに」
「皇室と源氏、平家も一緒に争って内乱になって」
 保元の乱だ、源平の戦乱の序曲にあたる。この時は源義朝と平清盛は同じ陣営にいて共に戦っている。
「その時に負けて死んだのよ」
「ハーレムを築いても」
「何か性格が厳しい人だったらしいし」
「ハーレムを築いても」
「ええ、それで武士の献策を突っぱねたりしてね」
 夜襲を卑怯だと言って採用しなかったのだ。
「それでね」
「その結果としてだね」
「内乱の時に矢傷で死んだのよ」
「あまりいい結末じゃなかったんだね」
「そうみたいね、ハーレムを築いても」
 そうしてもというのだ。
「人の結末はわからないわね」
「人生はそんなものだね」
「ちなみに源氏物語もね」
「ああ、あれもね」
「結末は悲しいから」
 源氏の君が世の無常を儚んで出家して終わったのだ。
「あちらも」
「栄華を極めて沢山の女性に愛されても」
「結局ね」
「終わりは悲しいんだね」
「その結末の評価も高いみたいだけれど」
 あっさりとハッピーエンドにはしない、紫式部の作品全体に流れている考えが出ていたということか。
「結末は悲しいことは事実よ」
「そういうことだね」
「とりかえばやはハッピーエンドだけれど」
 こちらはというのだ。
「色々あった後でね」
「そうだったんだね」
「そうなの、しかしね」
「しかし?」
「色々話して私も男装なら」
 この恰好ならというのだ。 
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