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夢幻水滸伝

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第八十三話 江戸っ子その四

 麻友はむしろ自分が主になって幸田と共に店の親父に屋敷の中を見させてもらった。麻友は実際に細かいところまで見てだった。
 屋敷を買うことにした、即座に契約してそれから屋敷に入ったが幸田は屋敷の中で麻友にこう言った。
「家が手に入ってよかったな」
「もうすぐ家具と食材が届くよ」
「今その話をしようと思ってたんだよ」
「もうお屋敷買った時にそっちの話もしたんだよ」
「そうだったのかい」
「そうさ、家事ってのは先に先に考えていかないとね」
 そうしなければとだ、麻友は幸田に笑って話した。
「何も出来ないからね」
「だからか」
「もう全部買ってね、こっちに届けてもらう様にね」
「話を進めてるんだな」
「そうだよ、術ですぐに持って来てくれて大人数で入れてくれるってさ」
「じゃあ今日中にか」
「二人暮らしはじめられるよ」
 麻友は幸田に笑って答えた。
「よかったね」
「本当にしっかりしてるな」
「だからあたしは吉君の奥さんになるんだよ」
 それならというのだ。
「当然のことじゃないか」
「かみさんはしっかりしないと駄目か」
「そうさ、それとね」
「それと?どうしたんでい」
「いや、お屋敷と暮らしのことはこれでいいけれど」
 それでもとだ、麻友は幸田に話した。
「問題はだよ」
「それからのことだな」
「そうだよ、あたし実はそこから先はまだよく考えてないんだよ」
「そうか、そう言われるとおいらもな」
「具体的にはだね」
「まだ考えてねえな、江戸を一つにするにしても」
「どうしようかね」
「江戸城があるよな」
 まずはこの城のことを言う幸田だった。
「随分と立派な城で手入れも行き届いているみたいだな」
「天守閣を見ればそうだね」
「ってことは江戸城に主がいてな」 
 それでというのだ。
「その下に随分と大勢人がいてな」
「城の手入れもしてるんだね」
「それこそ誰もいないとな」
「家もお城もすぐに傷んじまうよ」
「このお屋敷はそれ程でもないけれどな」
「人が住む場所は人がいないとね」
 そうなってしまえばというのだ。
「手入れする人がいなくなるってことでね」
「すぐに傷むんだな」
「そうだよ、そうなるからね」
 だからだというのだ。
「江戸城にしてもだよ」
「主とその下に人が随分いてか」
「ちゃんと手入れされてるんだよ」
「じゃあ一番手っ取り早い方法はあれだな」
 幸田は腕を組み考える顔になって麻友に話した。
「江戸城の主、殿様に会ってな」
「そうしてだね」
「殿様と直談判するか力づくでな」
「城を譲ってもらって」
「治めるか」
「それが一番いいんだね」
「ああ、おいらの神具があれば」
 このことも心の中から言われた。
「そしておめえもいるしな」
「あたしの神具は戦えるものじゃないよ」
「包丁だから出来るだよ」
「包丁は人を刺すものじゃないよ」
 麻友は自分の神具の一つである万能料理道具の中にある包丁の話をした、勿論他の料理道具も揃っている。
「あたしもそれには使わないよ」
「そうだな、包丁はあくまで料理のものだな」
「人を刺すことになんか使ったら駄目だよ」
「じゃあ術で戦ってな」
「それじゃああたしもいけるね」
「それでおいらが虎徹を使ってな」
 この神具をというのだ。 
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