八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九話 運動会前その九
「スター選手が出るとね」
「そこから強くなるか」
「人気も出るからね」
「つまりカリスマだな」
「うん、それがある人が出ると大きいから」
これはどんな世界でもだと思う、戦後の日本の芸能界と漫画界は美空ひばりと手塚治虫の二人のカリスマの存在がどれだけ大きいか。
「だからね」
「そうした人が出ることをか」
「期待してもいいかもね」
「英雄みたいなものだな」
「その世界ではね。実際藤村さんなんて」
初代ミスタータイガースのこの人はというと。
「永久欠番になって今でもね」
「語り継がれているな」
「本物のプロ野球選手だったって人もいたよ」
作家の坂口安吾だ、無頼派の中でも特に無頼な人生と主張だったと思う。
「そこまでだったって」
「それで活躍もしてか」
「人気もあったんだ」
「実力も人気もある、か」
「本当に英雄かな」
「阪神ファンからみればそうかもな」
「バースさんもね」
この偉大な助っ人もだ。
「神様仏様バース様だったから」
「まさに英雄扱いだな」
「今でも語り継がれているから」
文字通りの伝説としてだ。
「僕も知ってる位のね」
「俺も知ってるしな」
「バースさんはだね」
「よく聞く名前だ」
「関西にいたらそうなるよね」
「凄いスラッガーだったんだな」
「うん、三冠王二回も取って」
それも二年連続でだ。
「阪神を優勝させたからね」
「あの人がいたから優勝したか」
「というかね」
まさにだったのだ、あの時は。
「日本シリーズもね」
「優勝出来たんだな」
「若しあの人がいなかったら」
本当にだ。
「どうなっていたか」
「わからない位だな」
「優勝出来ていなかっただろうね」
あの時バースさんがいないとだ。
「本当に」
「そこまでの人だな」
「阪神というか日本で最高の助っ人って言われてるよ」
今も尚だ。
「性格もよかったってね」
「言われているんだな」
「そうなんだ、今も日本を好きでいてくれてるし」
「それはあれだな」
「あれっていうと」
「今も素晴らしいと言われて褒め称えられているんだ」
だからだとだ、劉君は僕に話した。
「それならだ」
「日本が好きになるのも当然っていうんだ」
「好きにならない筈がない」
それこそというのだ。
「自分をそこまで好きでいてくれるならな」
「自分を好きな人を人は好きになる」
「逆もあるがな」
その相手を嫌うと相手も自分を嫌いになる、そうしてお互い嫌い合う様になるのは自然となることだ。
「しかしな」
「自分を好きな人をだね」
「人は好きになるからな」
「だからバースさんもなんだ」
「日本が好きなんだ、特にな」
劉君は僕にさらに話した。
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