八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九話 運動会前その八
「そこからさらにね」
「あの配色になったか」
「そうだったんだ」
「徐々に変わってか」
「ああなったけれど」
「本当にいいデザインだ」
「今も人気あるんだよね」
特に帽子がだ、当時のパリーグは近鉄だけじゃなくて他のチームのユニフォームもいいものが多いと思う。
「恰好いいってね」
「確かに恰好いいな」
「劉君もそう言ってくれるんだね」
「あのユニフォ―ムで運動会に出てもな」
「いいんだ」
「そう思う、特にあの帽子だ」
三色で岡本太郎さんのデザインのエムブレムが入ったそれがだ。
「いいな」
「あの帽子ね。買おうかな」
「持っていないのか」
「好きだけれど」
それでもだ。
「実は持っていないんだ」
「なら買うべきだな」
「帽子だから日除けになるしね」
「日射病も防いでくれる」
「それじゃあね」
「俺も買うか」
劉君もと言うのだった。
「そうするか」
「そうするんだ。しかしあの帽子も有名になったね」
もう正規のユニフォ―ムじゃなくなったけれどだ。
「中国からの人も知るなんて」
「そこでそう言うか」
「昔は日本だけだったのに」
日本国内でだけ有名だった。
「日本の野球も世界的になったのかな」
「野球自体が広まっているしな」
「中国でもやる人増えてきたんだよね」
「まだまだ弱いがな」
「ううん、まあやってるとね」
「強くなるか」
「次第にね。特にね」
僕はさらに話した。
「スター選手が出たら」
「そこから強くなるか」
「日本もそうだったし」
ドイツのサッカーにしてもベッケンバウアーが出てから強くなったと言われている、皇帝と呼ばれた彼が。
「藤村さんとか出てね」
「確か阪神の人だったな」
「ミスタータイガースって言われたね」
「あの人が出てからか」
「他にも色々な人が出て」
戦争前のことだ、沢村栄治という伝説のピッチャーも出た。
「それからだから。稲尾さんや杉浦さんも出て」
「パリーグの人達だな」
「阪神には村山実さんが出てね」
巨人の選手の名前は絶対に出したくなかった、理由は簡単で僕はこのチームがとにかく嫌いだからだ。
「人気が出てね」
「強くなったんだな」
「まあ阪神はね」
このチームについては僕はここでも苦笑いになった。
「あまり優勝出来なかったけれど」
「強くなってもか」
「残念だけれどね」
「それが阪神の運命か」
「そうだろうね、とにかくここぞって時に負けてたから」
それも記録にも記憶にも残る負け方ばかりだ。
「村山さん達がいてもね」
「優勝は少なかったか」
「ずっとね」
それこそだ。
「他のチームの後塵を拝してきたよ」
「そうだったんだな」
「残念なことにね、しかし」
僕はここでまた劉君に言った。
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