八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七話 イギリス文学と日本その十三
「日本で言うと東条英機さんかな」
「あの人ね」
「あの人は絶対に運がなかったから」
どう見てもそうとしか見えない、あのタイミングで首相に選ばれるなんて後でああなることが決まっている様なものだ。
「だからね」
「ああなったのね」
「そうも思えるしね」
テレサさんにもこう述べた。
「本当に運も大事だね」
「運がある人はここぞって時にも運を発揮して」
「逆に運がない日ともね」
「発揮するのね」
「それで負けやりするから」
「じゃあ昔日本のプロ野球でいた」
ここでテレサさんは野球の話をしてきた、僕はその話を聞いてそういえばシーズンも終盤だと思った。
「西本幸雄さんは」
「一回も日本一になってないからかな」
「運がなかったのかしら」
「どうかな。西本さんが言うにはね」
他ならぬご本人が言った話が残っている。
「戦争からも生きて帰ってね」
「だから運がいいの」
「それで八回もリーグ優勝出来たから」
そこまで優勝した監督さんも数える程しかいない。
「運がよかったって言ってるよ」
「日本一になれなくても」
「うん、それでもね」
「そんなものかしら」
テレサさんは僕の話にどうかという目になって述べた。
「実際のところ」
「どうだろうね、けれど実際にね」
「西本さんは日本一になれなかったけれど」
「戦争から生きて帰って」
運が悪かったらそこで戦死していたと言われている。
「しかも八回だからね」
「リーグ優勝が」
「ここまで出来たから」
それでだ。
「運がよかったって言ってるよ」
「そうなるかしら」
「阪神の試合とか見てたら」
昔のそれをだ。
「最終戦で巨人に負けたりホームランがツーベースになったり」
「そっちの方が不運なのね」
「そうじゃないかな。最近は毎年日本一になってるけれど」
「昔の阪神は」
「凄い運だったから」
悪いという意味でだ。
「本当に運が悪いのはね」
「阪神みたいなことを言うのね」
「そうだと思うよ。神風が吹いても」
日本で幸運の代名詞となっている言葉だ、元寇の時のことから言われているけれど台風だけじゃなくて日本の武士も奮戦しての勝利だった。
「それでもね」
「阪神には吹かないのね」
「そうなっていたんだよね」
「それが本当の不運なのね」
「そうだと思うよ」
テレサさんにこんなことを話した、そしてだった。
僕達はイギリスの料理を楽しんだ、そのうえでデザートにイギリス風のエクレアを食べた。このエクレアも実に美味しかったけれどイギリスで食べるとどうなるのだろうとふと思ったりもしたのは自然のことだったのだろうか。
第二百七話 完
2018・10・8
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