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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七話 イギリス文学と日本その十二

「艦橋の人達が全員死ぬか意識がなくなって」
「まあ砲弾が直撃したらね」
「そうなるわね」
「それでね」
 まだある、黄海海戦の凄いことは。
「舵取ってた人も死んだけれど」
「船が動かなくなった」
「そうなったの?」
「それがね、舵にもたれかかって死んだんだけれど」
 それでもだったのだ。
「右か左かどっちかにもたれかかって」
「それで死んだの」
「じゃあ舵そのまま右ね」
「先頭の船がそうして動いたから」
 後に続く船はだ。
「そのままね」
「先頭の船に続いて動くから」
「状況によってはまずいわね」
「それで実際にね」
 ロシア海軍の動きを見てだ。
「日本海軍も攻撃を仕掛けて」
「そうして勝ったのね」
「一発の砲弾が先頭の船の艦橋に当たって」
「それでなのね」
「日本が勝ったのね」
「この人実力も凄かったけれど」
 名将であることは間違いない、歴史に残るまでの人だ。
「運も凄かったから」
「運なのね」
「運がかなりいい人だったから」
「その強運でね」
「日本に勝利をもたらした」
「そうした人だったの」
「だからこの人がいなかったら」
 采配もさることながらだ。
「日本もどうなっていたか」
「何か凄い人ね」
「本当に」
 二人も僕のその話に驚いていた。
「何ていうか」
「運も実力ってことかしら」
「そうかもね、どうも戦争ってね」 
 聞いた話によるとだ、戦争というものも人と人が行うものであり運という要素が絡むことは事実ということか。
「運も大きいみたいだね」
「若し運が悪いと」
「戦争にも勝てない」
「それが現実なのね」
「そうなるのね」
「実際あの人が連合艦隊司令長官になったのも」
 その任命についてもだ。
「運がいいからってね」
「それが理由だったの」
「実際に運がいいから」
「そう、運がいいから」
 だからだったという。
「連合艦隊司令長官に任命されて」
「しかも海戦にも勝った」
「凄いお話ね」
「相当に凄いね」
 僕も認めるしかなかった。
「あの人の運は」
「それでその人を司令官にしたことも」
「凄いわね」
「能力はあったけれど」
 海軍士官それも指揮官としてのそれがだ。
「それに加えてね」
「運がよかった」
「その運も買われたのね」
「それで司令官になって」
「実績を出してるのね」
「そう、勝ったからね」
 それも重要な海戦でだ、日露戦争という日本の運命を決めるまでに極めて重要な戦争の中でのそれに。
「運も馬鹿に出来ないね」
「逆に言えば運が悪い人が司令官だったら」
 イタワッチさんはこの場合についてあえてという感じで言及した。
「その時は」
「ああ、その時はね」
 僕もすぐに答えた。
「そうした人っていざな時に出るからね」
「その運のなさが」
「そうなるから」
 普段からそうでもここぞという時は余計にだ、何故か運が悪い人はそうした時にこそ貧乏くじを引いてしまう。 
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