夢幻水滸伝
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第八十二話 佐渡の金その五
「幾らでも飲めます」
「そこまで好きだがや」
「はい」
まさにという返事だった。
「毎晩の様に飲んでいます」
「こっちの世界ではそうだぎゃな」
「そうしています、起きた世界でも」
こちらでもというのだ。
「よくです」
「飲んでいるだぎゃ」
「日本酒を」
「新潟生まれだけにだぎゃ」
「はい、上杉謙信さんもお好きでしたし」
無類の酒好きだったと言われている。
「あの方の様に梅干しを肴にすることも」
「好きだぎゃな」
「そうです」
「わしは味噌カツや鶏、きし麺が多いだがや」
坂口の酒の肴はというのだ。
「雅ちゃんは海の幸に蕎麦だがや」
「それぞれの地域で違いますね」
「そうだぎゃな、滝沢や正宗も酒好きだぎゃ」
「実は室生さんもですし」
「あいつはあれでだぎゃ」
まさにと言う坂口だった。
「うわばみだがや」
「そうなんですよね、あの方は」
「あれだぎゃな、お刺身や鍋で」
「日本酒をしこたま飲まれます」
「わし以上に飲むだがや、しかも幾ら飲んでもだがや」
そうしてもというのだ。
「表情が変わらないだがや」
「そうした人ですね」
「しかしだがや」
それでもというのだ。
「二日酔いにはなるそうだがや」
「その様ですね」
「二日酔いとかなるだがや」
そこが疑問という顔だった。
「表情が変わらないからわからないだがや」
「二日酔いの日は無口になられますね」
「それでわかると言えばわかるだぎゃが」
それでもというのだ。
「表情は変わらないだがや」
「二日酔いになりますと」
「普通は顔に出るだがや」
身体への悪影響、それがというのだ。
「どうしても」
「それでもですね」
「あいつは顔に出ないだがや」
「特殊な方ですね」
「酒についてはそうだぎゃな」
「ご自身はしっかり苦しんでおられるそうですが」
「顔に出ないだけだがや」
「それだけですが」
それでもというのだ。
「そのお顔に出ないことがです」
「凄いことだがや」
「二日酔いになればどうしても」
「顔に出るだがや」
「そうなりますからね」
「それであいつはこっちの世界で二日酔いになったらどうしてるだがや」
「その朝にです」
二日酔いになったその朝にというのだ。
「お風呂に入られて」
「そうしてだぎゃな」
「お酒を抜かれます」
「そうしてるだぎゃか」
「お湯に入られ蒸し風呂にも入られて」
所謂サウナである、この島にもこの風呂はあるのだ。
「そして水風呂にも入られて」
「そうしたことを繰り返してだぎゃな」
「お酒を完全に抜かれ」
二日酔いになっている原因である酒気をというのだ。
「そうしてです」
「すっきりしてだぎゃな」
「一日をはじめられています」
「それはいいことだがや、酒はだがや」
まさにとだ、坂口は鈴子の話を聞いて述べた。
「お風呂が一番だがや」
「二日酔いにはですね」
「裸になって頭から冷たい水を何度も被るやり方もあるだぎゃが」
それでもというのだ。
「わしは風呂の方がいいと思うだがや」
「二日酔い解消にはですね」
「特に蒸し風呂だがや」
こちらの風呂がいいというのだ。
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