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夢幻水滸伝

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第八十二話 佐渡の金その四

 武具も揃えていく、内政のこともあり金はかなりかかったが。
 やはり金山と銀山特に佐渡金山のそれが役立った、それで坂口も唸って言った。
「佐渡金山で随分助かっているだがや」
「政の分はですね」
「充分賄えているだがや」
 こう鈴子に話した。
「本当に凄い金山だがや」
「私達の世界でもかなりの場所でしたが」
「この世界でもだぎゃな」
「はい、まさに無尽蔵に金が出る」
「そうした金山だがや」
「あと甲斐の金山もいいですね」
「そこだがや、金山はだがや」
 まさにというのだ。
「役に立つだがや」
「まことにそうですね」
「ただ、甲斐の金山だけではだがや」
「中々こうはいかないですね」
「それで滝沢達も苦労していただぎゃな」
 内政に使う銭を確保することにだ、彼等は築城や軍勢のこともあり元々貧しい甲信の政全体を賄うには甲斐の金山では不十分だったのだ。
「けれどだぎゃ」
「今はですね」
「佐渡の金山が凄過ぎるだがや」
 もたらす金の量がというのだ。
「お陰で十三国全体の治に銭では困っていないだがや」
「どうも私達の世界の佐渡金山より凄いですね」
 鈴子はこう考えていた。
「それも遥かに」
「そうかも知れないだぎゃな」
「それで治に困っていないですね」
「全くだがや、しかし」 
 それでもだとだ、坂口は鈴子に話した。そうして今自分達がいる春日山城においてこんなことを言った、
「敵には困っているだがや」
「やがり東国ですね」
「幸田の奴はわし以上の野心家だがや」
 そうだと言うのだった。
「だからだがや」
「守ることが大変ですね」
「越後の東、新発田城は絶対にだがや」
「守りを固めますね」
「堅固な城にするだがや」
 こう言うのだった。
「春日山城は越後の治の中心にしてだがや」
「新発田城はですね」
「東国への守りの要にするだがや」
「それでは」
「そしてだがや」
「上野から攻めてきます」
 東国、彼等はというのだ。
「そちらにもどう備えるか」
「課題は多いだぎゃ、だからだぎゃ」
 まことにというのだ。
「銭には困っていなくてもだがや」
「困っていることはありますね」
「結局政は実うの種が減らないだがや」
「それが政ですね」
「全くだがや、しかし悩んでばかりもいられないだがや」
「では」
「気分転換もするだがや」
 こうも言ってだ、そしてだった。
 彼は春日山城の中で飲みはじめた、鈴子も一緒だが彼女は越後の酒を出しただけでなく柿の種も出した。
 その柿の種を見てだ、坂口は笑って言った。
「これがいいだがや」
「牡蠣の種がですね」
「やっぱり美味しいだがや」
 まさにというのだ。
「お酒に最適だがや」
「そう思ってお出ししました」
「いいことだがや、しかし」
「しかし?」
「あんたもいける口だぎゃな」
「お酒は大好きです」
 笑みを浮かべてだ、鈴子も飲んでいた。コボルト族の顔で酒をどんどん飲んでそのうえで言うのだった。 
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