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夢幻水滸伝

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第八十二話 佐渡の金その二

「甲斐と信濃を豊かにしましょう」
「銭が入ることが大きいだがや」
「そうです、特にです」
「佐渡だがや」
「この世界でも佐渡の金山はかなりのものです」
 その金山があるからだというのだ。
「金を掘り出していき」
「その富でだぎゃな」
「豊かになりましょう」
「わかっただがや」
 確かな声でだ、坂口も答えた。
「世界を救うってのが何か」
「まだわかりませんが」
「民と国を貧しさから救うこともだがや」
「間違いなく世界を救うことですね」
「そうだがや」
 まさにとだ、坂口は雅に答えた。
「だからだぎゃな」
「そうです、佐渡金山の富を使い」
「甲斐と信濃の内政をするだがや」
 こう言ってだった、そのうえで。 
 坂口は甲信の内政に力を入れることにした、その資金は実際に佐渡金山からのものだったが問題はまだあった。
「金山を掘る奴だがや」
「そのことか」
 室生は坂口の言葉に応えた、今東海の星の者達は名護屋城に集まって内政の会議をしちえたがここで金山の話も出たのだ。
「佐渡や浮島のだな」
「ああ、御前は人夫雇ってやってるのう」
「高給でな」
「そうだぎゃな」
「鉱山の仕事は重労働だ」
 それでというのだ。
「高給で美味いものと家も用意してな」
「そうだぎゃな」
「それはそちらもだな」
「甲斐にも金山はありますが」
 滝沢も坂口に言ってきた。
「やはりです」
「人夫を高給で雇ってだぎゃな」
「働いてもらっています」
「そうだぎゃな、しかしな」
「何が言いたい」
 室生は坂口に問うた。
「一体」
「そうした人夫は無理をさせられん」
「だからか」
「そうだがや、金山とかで危険な仕事をさせてだぎゃ」
「掘らせる者が欲しいか」
「そしてもっと金や銀を掘らせたいだがや」
 これが坂口の考えだった。
「ここは」
「なら重罪人を使いましょう」
 鈴子が言ってきた。
「現行犯で言い逃れも出来ない」
「ああ、下手に死罪にするよりもだぎゃな」
「彼等を死ぬまで、この世界では復活の術もありますし」
「事故で死んでもだぎゃな」
「幾らでも痛い思いをさせてです」
「掘らせるだぎゃな」
「こうしてはどうでしょうか」
 こう坂口に言うのだった。
「ここは」
「そういえば佐渡金山は元々そうだっただがや」
 坂口は鈴子の話からこのことを思い出した。
「島流しにした罪人に掘らせていただがや」
「生きて帰れないと言われていましたね」
 正宗もこの話を思い出して坂口に応えた。
「そういえば」
「そうだっただがや」
「では、ですね」
「死罪にして魂消す奴もいるにしてもだがや」
 それでもと言うのだった。 
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