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夢幻水滸伝

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第八十二話 佐渡の金その一

                第八十二話  佐渡の金
 坂口は北陸と同君連合に等しい同盟を結び実質的にその地域の棟梁にもなった。そうしたうえでだった。
 東海と甲信、そしてその北陸全体のことを考えることとなった。このことについて彼は名護屋城で雅に言った。
「わしも佐渡を入れて十三国の主になっただがや」
「そこにいる民達の主でもあり」
「大きくなっただがや、しかし」
「はい、大きくなればです」
 それだけにとだ、雅も応えて言ってきた。
「それだけやらねばならないことが出て来てです」
「実際にだがや」
「はい、まずは守りですが」
「それだがや、わし等は東にえらい連中を抱えているだがや」
「東国ですが」
 彼等のことをだ、雅も述べた。
「彼等は天下統一を掲げています」
「この日本の」
「そうした意味では我々と同じですし」
「わし等に隙があればのう」
「すぐに攻めてきます」
「そうしてくるだぎゃな」
「ですから国境の守りは固めておきましょう」
 東国とのそこをというのだ。
「それも常に」
「越後と信濃、甲斐、そして駿河だぎゃな」
「そうです、国境の城に兵を多く置き」
「城も堅固にしてだぎゃ」
「敵に隙を見せない様にして」
 そうしてというのだ。
「彼等を防ぎましょう」
「星の奴も置きたいだがや」
「滝沢君と正宗君のどちらかを常にです」
「置いておくだぎゃな」
「二人は武に秀でています」
 政よりもそちらにだ、それぞれ率いている兵種は違うがそれでも武に秀でていることは確かである。
「ですから」
「あの二人のうちどちらかをだぎゃな」
「出来るだけ常に置き、少なくとも六人の星のうちのです」
 自分達の勢力のというのだ。
「一人は置いてです」
「備えておくだぎゃな」
「そしてです」
「そちらの守りを固めておいてだがや」
「国全体の政をしましょう」
「甲斐と信濃だぎゃな」
 国全体の政と言われてだ、坂口はすぐにこの二国の政を思い浮かべた。
「その滝沢と正宗がいつも言ってるだがや」
「はい、二国はまだ農業も商業も進んでおらず」
「それでだがや」
「貧しいです、ですから」
「内政に力を入れてだぎゃな」
「はい」
 そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「二国を豊かにするだぎゃな」
「人手もお金も手に入りましたし」
「北陸のだぎゃな」
「室生さんと壷井さんはお二人共内政も得意です」
「むしろわしよりもだぎゃ」
「それは謙遜ですが」
 坂口のとだ、雅は彼が内政も結構以上に出来ることを知っているのでそれで彼自身にこう返したのだ。
「しかし内政が出来る方が二人入られた」
「このことはだぎゃな」
「非常に有り難いことです」
「だからだぎゃな」
「はい、甲斐と信濃の田畑と堤を整え」
 そうしてというのだ。
「そして街も道もです」
「整えてだぎゃな」
「豊かにしましょう、その元手は」
「北陸の金だぎゃな」
「北陸は多くの浮島があり」
 このことから話すのだった。
「金山そして銀山もあります」
「富を生み出してくれるだがや」
「銅山もありますが」
「元手は金山と銀山だがや」
「そこから生み出される富です」
「そうでだぎゃな」
「はい、あの富を使って」
 そしてというのだ。 
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