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夢幻水滸伝

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第八十一話 北陸の雄その十四

「この世界の北陸は浮島が多くそうした島々にもです」
「金山がありますか」
「銀山も銅山もです」
「では」
「そうした富が使えますので」
 それでというのだ。
「北陸と同盟を結ぶと大きいです」
「やはり世の中はお金ですね」
「はい」 
 即座にだ、雅は正宗に答えた。
「ではです」
「返事はですね」
「すぐにしましょう」
「わかっただがや」
 坂口も頷いた、こうしてだった。
 東海と近畿は実質上一つの勢力と言っていいまでの親密な同盟を結ぶこととなった。このことが決まってだった。
 坂口は室生と名古屋城で会った、そうして酒を飲みつつ彼に言った。
「そっちが盟主でええか」
「私がか」
 室生も酒を飲みつつ応えた。
「盟主か」
「東海と北陸ののう」
「いや、それはだ」
「ええか」
「御前がなれ」
 こう坂口に返した。
「その方がいい」
「何でいいだがや」
「私は止まる、しかし御前は自分がそうと決めたら進む」
 そうした者だからだというのだ。
「先にな、私は自分の限界を感じたらな」
「それまでっていうだがや」
「そうだ、しかし御前は限界を感じてもだ」
「限界が超えるものだがや」
 即座にだ、坂口は室生に答えた。
「そして天下と世界の統一もだがや」
「目指しているな」
「そうしているだがや」
「それだ、私は北陸を統一してな」
 そこでというのだ。
「私の器の限界だと感じた、それでだ」
「今こうしてわしと話をしているだがや」
「そうなっている、だからだ」
 それでというのだ。
「御前が東海と北陸の盟主になるべきだ」
「そうだがや」
「星の序列の問題ではない」
「器だがや」
「そうだ」
 まさにそれを見てのことだというのだ。
「だから御前が東海と北陸の実質的な棟梁となりだ」
「そうしてだぎゃな」
「治めて戦ってもらう」
「わかっただぎゃ、東国と近畿が問題だがや」
 この二つの地域がとだ、坂口は室生に応えて述べた。
「わしはまず東国は守りを固めるだがや」
「そうしてその侵入を防ぎながらか」
「近畿を伺って隙があればだがや」
「攻めていくか」
「そうするだがや、近畿は強いが」
 それでもというのだ、
「倒せば豊かな近畿と多くの星が加わるだがや」
「日本統一に大きく踏み出せるな」
「だからだがや」
「まずは近畿か」
「そうしていくだがや」
「それでいいだろう、ではな」
「これから一緒にだぎゃな」 
 坂口は自分の話を聞いて頷いた室生に笑って応えた。
「やっていくだぎゃな」
「そのことを誓い合う為にな」
「今は飲むだがや」
「名古屋の酒も美味いな」
 坂口が用意したその酒を飲みつつだ、室生は笑ってこうも言った、
「これなら幾らでもだ」
「飲めるだぎゃな」
「出来そうだ、私も酒は好きでな」
「知ってるだがや、寮でも飲んでるだぎゃな」
「うむ、飲める時はな」
「それに同じクラスだった時もあっただぎゃ」
 それだけにというのだ。
「知っているだぎゃ、好きな酒は日本酒だがや」
「北陸生まれだからな、鈴子君もそうだ」
「なら飲むだがや、そしてお互いに」
「絆を深めていくか」
「そうするだがや」
 坂口は笑って言った、そしてだった。
 室生と二人で飲んでいった、そうして二人で共にやっていくことを誓った。だがこれは二人のほんのはじまりに過ぎなかった。


第八十一話   完


                 2018・9・9 
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