八条学園騒動記
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第五百一話 青春のコスプレその六
その部長がだ、ジョルジュに少し考えてから答えた。
「コスプレの撮影もな」
「いいですよね」
「ああ、それじゃあな」
彼もあらためて言った。
「皆で撮影してな」
「今日の活動にしますか」
「今日は動物園の動物を撮影しようと思ってたけれどな」
「その予定でしたね」
「そうだったけれどな」
それでもというのだ。
「今の君の言葉を聞いて変えた」
「今日は僕の撮影会ですか」
「それが活動だ」
本日のそれだというのだ。
「あとな」
「あと?」
「動物園に行くのは明日だ」
翌日に回すというのだ。
「そうするな」
「そうですか」
「じゃあな」
「今からですね」
「撮影会だ」
「わかりました、僕も自撮りします」
じぶんもと言うジョルジュだった。
「これから」
「そうしてくれ、コスプレの撮影もな」
部長は真面目な顔でこうも言った。
「写真部としてはな」
「ありですか」
「ありだ、どういう訳かしていなかったがな」
「うちの部活最近は」
「何かこの二年位な」
つまりジョルジュが入部する前はというのだ、彼は入学と同時にこの写真部に入部して活動しているのだ。
「していなかったらしいんだよ」
「そうだったんですね」
「何か機会がなかったみたいだな」
「別に駄目だったとかじゃないんですね」
「写真の撮影も機会だよ」
これ次第で大きく変わるというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「してなかったけれどな」
「今がその機会ですか」
「まだ来てない奴がいるけれどな」
「遅刻ですよね」
「ああ、カトリーヌだよ」
部長は女性の名前を出した。
「何でもクラスの仕事で送れるらしい」
「じゃあの娘が来てから」
「それかだよ」
撮影会をすることはというのだ。
「それでいいな」
「わかりました」
ジョルジュも答え他の部員達もだった。
今は最後の一人を待った、その間ジョルジュは空いている場所に座っていたがその彼を見ていてだった。
部員達は彼に口々に言った。
「本当にな」
「別人みたいだな」
「メイクと服のせいか」
「ウィッグも被ってるしな」
「何処の誰かって感じだよ」
「アニメキャラになりきってるな」
「外見はね、けれどね」
ジョルジュは彼等に笑って答えた。
「中身は僕だよ」
「そのままか」
「変わらないんだな」
「ジョルジュなんだな」
「うん、そこまではね」
性格まではというのだ。
「変わらないから」
「そうなんだな」
「変わったのは外見だけで」
「中身まではか」
「変わらないか」
「流石にそこまでは」
「男の子のままだよ」
男の娘になってもというのだ。
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