八条学園騒動記
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第五百一話 青春のコスプレその二
「恰好いいだろ」
「いや、変わってると思うけれど」
「恰好よくはないか」
「普通のでいいんじゃない?」
「じゃあそれがしな」
「ちょっと以上に古いね」
ジョルジュはこの一人称もどうかと述べた。
「日本の時代劇じゃない」
「じゃあ拙者も駄目か」
「そっちもね」
やはり時代劇だからだというのだ。
「古いね」
「じゃあ私にしておくか」
「それでいいと思うよ、気取ってる感じがするけれど普通だしね」
「じゃあな、それで私はな」
「用意がよくて」
「それでだよ」
衣装は全て用意してあったというのだ。
「コスプレ部に行ったら持ってきてくれたよ」
「そうだったんだ」
「ここで衣装部と間違えるなよ」
「あっちは歌劇部や演劇部だからね」
「同じ服を扱っていてもな」
それでもというのだ。
「クラシックとか京劇とかミュージカルとかな」
「そういうのだから」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「そこは間違えないでくれよ」
「わかったよ、若し間違えたら」
「魔法少女じゃなくてな」
「他の誰かになるね」
「マリー=アントワネットとかな」
少年はこの人物を出した。
「それか?」
「ギロチン台に行きそうだね」
「じゃあクレオパトラはどうだ」
「毒蛇に噛まれるよね」
「よし、それならゼノビアだ」
「最後負けてるよ」
「よく知ってるな」
ジョルジュの突っ込みにこう返した。
「実際どの衣装もあるけれどな」
「そういうのはいいから」
「悲劇の女王はか」
「というか女王役はあまり興味ないしね」
「魔法少女がいいんだな」
「魔法少女というか」
「何だ」
ジョルジュにあらためて問い返した。
「というかというと」
「可愛い系が好きなんだ」
「魔法少女に限らずか」
「スタイルがいい娘がそういうの着たら余計にぐっとくるじゃない」
「コスプレだとな」
「そういうのが好きだから」
それでというのだ。
「僕は女王系じゃないんだよね」
「マリー=アントワネットやゼノビアはか」
「あとクレオパトラもね」
「じゃあ衣装部にありそうなのならどれがいいか」
「可愛い系であるかな」
「ピーターパンか」
少年が可愛いと聞いて思い浮かべたのはこの役だった。
「あれは大抵女の子が演じるしな」
「ウェンディも女の子でね」
「そうするからな」
「ううん、ボーイッシュな可愛さだね」
「こっちはどうだ」
「それをスタイルのいい娘がやったらいいね」
ジョルジュは少年に微笑んで答えた、答えつつ服を脱ぎはじめている。黒いトランクスが露わになった。
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