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武装神姫 ~心と心の最前線(Front Line)~

作者:太陽と月
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第一章 『ユウナ』
  第7話 出会い 2組目

第7話 出会い 2組目

 「ふぇ~~~~~ん!!」 「ほら、もう泣き止んでよ!」

 「だって!勝てなかったよ~~~~~!!」

 「でもさ、負けたわけじゃないんだよ?」

 「ふぇ~~~~~ん!!」

 1人の女性がこちらに歩きながら両手の上で泣きじゃくっている神姫をあやかしている。

 「心・・・、泣いてる・・・。」

 「だってさっちゃんに勝て・・・、あっ! さっちゃ~ん!!」

 先程まで泣いていたのが嘘のようにケロッと変わり、咲の前まで走ってきてちょこんと座る。

 「さっちゃん!今日の私、良かった?」

 「うん・・・、心・・・、良かった。」 「えへへ///」

 「はあ・・・。どうしてマスターのあたしだと慰めきれないかなぁ。咲ちゃんに懐きすぎだよ。ねぇ、華?」

 「ふふっ、そうですね、恵。」

 結奈は彼女らのやり取りを見て大変興奮しているようである。

 「マスター、前言撤回です!前F1チャンピオンの『恵』さんとその神姫、ラヴィーナの『心』さんまでお目にかかれるなんて。遅刻、バンザイ!」

 なんと複雑な心境なのだろうか。結奈がご機嫌を取り戻してくれたのは喜ばしいことなのだが、説教がなくなったわけではないだろう。事実、とてもありがたい授業が私には待っていたわけである。例えばそう、ラヴィーナについてだ・・・。新悪魔型MMSストラーフMk.2のリペイント版として作られた機体であり、悪魔をモチーフとして黒色をメイン色に使っていたのに対し、白色を基調としている。もともとのモチーフが悪魔であるがためにリペイント後であっても凛々しさは絶えない。柔らかい感じにはなったものの、一目見て「格好良い」と感じるのは万民がそうであると言える・・・らしい。この時の印象からしたらとてもそうは思えないのだが。

 「そういえば、華が誰かと一緒にいるなんて珍しいね。この人、誰?」

 「先程友人になった方です。何でも今日のF3大会の出場者ですって。」

 「ふぅ~ん。あたしは恵!まぁ、華とは付き合いが長くてね。親友(ライバル)ってやつだよ!あんたもよろしくね!」

 恵さんは笑顔が眩しい、元気な感じの印象だ。さらっと恥ずかしいことも言ってしまえる彼女だが、彼女もF1チャンピオンであるほどの強さの持ち主である。元気に見えるその笑顔の内には熱い闘志がメラメラと燃えている。そんなプレッシャーを感じさせてくる。

 「ねぇ、さっちゃん。この娘は?」 「結奈・・・。友達・・・。」

 「そうなんだ!オールベルン型なんだね!私と同じで真っ白だー!」

 「心さん/// 可愛い///」

 結奈の心の声が漏れている。加えてデレデレだ・・・。咲の時といい心の時といい、ここまで表情が溶けることは普段の生活からは予想できないし、まず思いつきもしない・・・。本当にこの娘は結奈であっているのか心配になってくる。

 「せっかく私たちも知り合ったんだし、同じ色だから・・・、そうだ! 『おねえちゃん』って呼んでも良い?」

 「おねえちゃん!!!」

 結奈の理性が崩落する音が聞こえた気がした。上目遣い。きょとんハテナ。口元に人差し指。甘え声。キラキラしたように見える世界。目の前にいる「なんだ、ただの天使か」と思わせるような天使、もとい悪魔。落ちるには十分な条件だった。

 「マスター!心ちゃんを連れて帰って!!」

 今だと言わんばかりに

 「私・・・、結奈・・・、連れて帰る。」
 私と華さんが笑う。

 「えっ!? なになに!? これ流行ってるの!?」

戸惑う恵さんをよそに両手に花の状態を満喫している様子の結奈。大変喜ばしいことではあるのだが、ふと会場にある時計が目に付く。AM11:30を指している時計の針は今の彼女らの至福の時に終了を告げる合図である。 ふと我に帰った結奈。

 「はっ! すみません咲さん、心ちゃん。名残惜しいですけどそろそろ時間が・・・。」

 「もう・・・、そんな・・・、時間。」

 「え・・・? おねえちゃん、行っちゃうの?」

 瞳をうるうるさせながら結奈を見つめる心。さぁ、頑張れ結奈。振り切ろう。

 「マスター、どうすれば・・・。」

 どうするったって、早く行かないと大会に出場できなくなってしまう。

 「心・・・、おいで・・・。」 「うぅ・・・。さっちゃ~~~ん。」

 あやかす咲と泣き出してしまった心。

 「結奈・・・、またね・・・。」 「バイバイ、おねえちゃ~ん。」

 「うぅ~。終わったら連絡します。その時までの辛抱です・・・。さぁ、マスター!早く行きましょう! そして早く終わらせましょう!!」

 結奈を両手ですくい上げ肩に乗せる。彼女らに一礼をしてバトルコーナーへと向かう。

 「ところで華、言っておくけど次はあたしが絶対勝つからね!」

 「えぇ、いくら見せるための戦いといえど、引き分けのままでは私も歯がゆい思いです。」

 「なら話は早いね!F1の決勝戦まであたし以外に負けるなんて許さないんだから!」

 「ふふっ。その言葉、忘れないでくださいね?」
「また・・・、心と・・・、バトル?」

 「そうですよ。暫定とは言え現在のチャンピオンは私たちですから。」

「ふぇ~~~~~ん!さっちゃんに勝てなかったよ~~~~~!!」

「また泣くの!?」


別れた後・・・


 「ところで咲、良かったのですか?」 「うん・・・。」

 「あの娘にそれほどの力が?」 「私より・・・。」

 「そうですか・・・。」 「大丈夫・・・、私・・・、これがある。」

 「これからは大変になりますね。」

 「ところで・・・、華・・・。」 「どうしましたか?」

 「時間・・・、遅れてる・・・。」

「・・・、はっ!? 大変です!! すっかり忘れていました!!!」

 「本当に・・・、大変に・・・、なった。」

 結局のところ大声を上げてしまいファンの軍勢に見つかってしまった彼女らはより一層遅れてしまったのであった・・・。
                                  第7話 完
 
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