戦国異伝供書
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第二十八話 天下の政その十一
「順番があるわ」
「ですな、では」
「これからはですな」
「数年領地を治め」
「今から仕組みも整えますな」
「それから九州ですな」
「そうなる、あとずっと手付かずの伊予もな」
四国のこの国もというのだ。
「四国攻めの時にな」
「我等の領地にしますな」
「どうも手に入れる機会がなかったですが」
「その時を機会として」
「領地にしますか」
「そうする」
こう言ってだ、信長は政を進めていった。奥羽まで手に入れたがその隅まで万全に治めていた。そうしてだった。
その中で安土城も築城されようとしていた、その天主閣が築かれていく中で信長は帰蝶に笑みを浮かべて語った。
「わしも住むが」
「私もですね」
「そうじゃ、今度の城は屋敷には住まぬ」
こう語るのだった。
「そうするぞ」
「では我等は何処に住むのでしょうか」
「天主じゃ」
信長はこう答えた。
「そこにじゃ」
「まさか」
「そのまさかじゃ」
帰蝶に笑って話した。
「安土に城を築くとな」
「その時は」
「そうするぞ」
「ではその城の天主は」
「うむ、御殿でもある」
「そうなるのですね」
「五層七階のな」
その天主こそがというのだ。
「我等の住む御殿となるのじゃ、そしてその天主には」
「他にもあるのですね」
「そうじゃ、あらゆる神仏とその力を込めてわしもおる」
「そのうえで天下を守護されるのですね」
「安土で鬼門を守護し」
都のそこをというのだ。
「そして裏鬼門にはな」
「大坂城をですね」
「築く、これまでは比叡山と高野山であったが」
「御仏の結界に加え」
「二つの城もじゃ」
これもというのだ。
「置いてな」
「都、即ち天下の護りとされますか」
「そう考えておる、そしてな」
さらに話す信長だった。
「天下泰平の礎とするのじゃ」
「そこまでお考えとは」
「だからあの城の石垣にあえて墓石や地蔵像を使ったのじゃ」
安土城のそれにというのだ。
「仏を恐れぬ行いと言う者が多いが」
「その実は」
「墓石や地蔵の力をじゃ」
「城に込める為ですね」
「うむ、天主にあらゆる神仏の力を集め」
「石垣にも力があり」
「安土の城自体が天下を守護する城となるのじゃ」
都の鬼門を護りというのだ。
「そうなるのじゃ、そして大坂城もな」
「あの城もですか」
「色々と結界を考えておる」
「左様ですか」
「それで裏鬼門を護るのじゃ」
都のそこをというのだ。
「あの城も結界となるからな」
「それで大坂の城にはどなたが」
「奇妙を考えておる」
信忠をというのだ。
「やがて家督を継ぐと安土に入ってもらうが」
「それまでは、ですか」
「あの城に入ってじゃ」
そうしてというのだ。
「裏鬼門を護ってもらう」
「そうされますか」
「そして東はな」
東国はというと。
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