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夢幻水滸伝

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第八十一話 北陸の雄その四

「だからな」
「是非ですね」
「勝とう」
 こう話してだ、そしてだった。
 滝沢は正宗と共に兵を動かした、正宗の兵は信濃側から見て南にある山の方つまり入った側から見て後方につくそこに布陣させてだった。
 自身は騎馬隊を率い昼に東海の軍勢の前に出た、そして法螺貝を鳴らさせて勢い攻めさせた。それを見てだった。
 雅は坂口にだ、こう言った。
「来ましたね」
「ああ、これはだぎゃ」
「陽動です」
 まさにと言うのだった。
「一旦戦ってです」
「退くだがや」
「そして我々を誘い出します」
「峡の方にだぎゃ」
「その入り口に」
 雅は自分達の側から見ての言葉で述べた。
「誘い出します、しかもです」
「夜だがや」
「夜に後方から攻めて」
 そしてというのだ。
「今目の前にいる騎馬隊もです」
「反転してきてだがや」
「攻めてきます」
「まあそうだぎゃな」
「ですから」
「ここはだがや」
「はい、あえてです」
 雅はその緑の目を光らせた、すると緑の瞳はエメラルドの様になった。知を表す宝玉であるそれに。
「乗ってです」
「追うだがや」
「追ってそしてです」
「攻めるだがや」
「そうします、しかし」
 それはと言うのだった。
「敵に気付かれますと」
「まずいだがや」
「はい、ですから」
「演技をするだがや」
「そうしていきましょう」
 こう話してだ、二人はその前から来た滝沢の騎馬隊に対して。
 まずは槍隊を前に横一列に出し槍衾を作らせた。その前に鉄砲隊を出させ一旦一斉射撃をさせた。すると早速騎馬隊のうち幾人かが落馬した。
 しかし騎馬隊の勢いは止まらない、鉄砲隊の者達はすぐに槍隊の後ろに退き今度は槍が前に突き出された。
 それで騎馬隊の突進を防ぎその後ろからだった。
 弓矢が放たれる、これで騎馬隊は動きを止められた。それを見てだった。
 滝沢は兵をすぐに退かせた、すると坂口は兵達に命じた。
「追うだがや」
「わかりました」
「それでは」
 兵達も頷き追撃にかかった、彼等は実際に追いはじめたが。
 雅はその中でだ、坂口にこう話した。
「このままいくとです」
「夜にだがや」
「はい、それも真夜中にです」
 まさにその時間にというのだ。
「私達は峡谷に入ります」
「そして後ろにはだがや」
「山があります」
「まさに。だがや」
「死地に入ります」
 敵の奇襲を受けるその場所にというのだ。
「そうなります」
「そうなるのは間違いないだがや」
「ですが」
「そこで、だがや」
「思う存分戦いましょう」
「そこで雌雄を決するだがや」
「はい、夜戦になりますが」
 それでもとだ、雅は坂口に確かな声で話した。
「朝にです」
「勝負は決しているだがや」
「そうなっています、そして勝つのは」
「わし等だがや」
「その通りです」
 こうも言ってだ、雅もまた兵達を進ませた。彼等は進軍を速めさせてそうして峡谷に入ったのは真夜中だった。 
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