夢幻水滸伝

「全く以てだがや」
「あの場所はですね」
「伏兵、奇襲にもってこいだがや」
「そうした場所ですね」
「話を聞いて思っただがや」
　斥候に向けた者達のそれをというのだ。
「ではだがや」
「あの場所に入れば」
「奇襲に用心してだがや」
「戦われますね」
「そうだがや」
「ここはです」
　すぐにだ、雅は坂口に強い声で言った。
「一見奇襲や伏兵に気付いていない」
「そうしたふりをだがや」
「して戦いましょう」
「伏兵には気をつけてもだぎゃな」
「気付かないふりをするのです」
「では横や後ろにだがや」
「はい陰陽術や超能力を使える者達を配し」
　攻撃的な術を使える者達をというのだ。
「そしてです」
「敵が攻めてきたらだぎゃな」
「彼等に即座に攻撃を仕掛けましょう」
「そうしてだぎゃな」
「敵の奇襲を弾き返しましょう、奇襲は成功すれば大きいですが」
　得られるものは大きい、しかしというのだ。
「失敗すればです」
「こちらの傷も大きいだがや」
「はい、ですから」
「敵の奇襲を防いで」
「そしてです」
　その後のこともだ、雅は話した。
「守りを固めて」
「戦うだぎゃな」
「敵は騎馬隊と僧兵隊が主ですが」
「どちらも攻めるのに向いてる兵種だぎゃ」
　坂口もすぐにこのことを指摘した。
「馬の衝撃力と僧兵の重い武器でだがや」
「そうです、騎馬隊は馬に乗っていますが馬の突進による衝撃が攻めの時の一番の力です」
　これをどう効果的に使うか、それが騎馬隊の使い方の際の考えどころなのだ。雅はこのこともわかっているのだ。
「そして僧兵は金棒や薙刀とです」
「間合いが広く強い武器だがや」
「それで戦うからこそです」
「攻撃力が大きいだがや」
「ですからどちらも強いですが」
「その強い相手にだぎゃな」
「守りを固めて」
　そうしてというのだ。
「戦いましょう」
「それではだがや」
「守りを固めて」
「戦うだがや」
　奇襲を防いだ、その後はというのだ。
「ここは」
「そうしましょう、では」
「天竜峡で戦うだがや」
　こう言ってだ、そしてだった。
　東海の者達は遂に天龍峡に入った、するとだった。
　滝沢はその彼等を見てだ、正宗にすぐに言った。
「ではだ」
「はい、用意は全て整っています」
「それではな」
「これより戦ですが」
「昼に一旦戦う」
　滝沢は強い声で述べた。
「そしてだ」
「敵を天竜峡に誘い出し」
「夜に仕掛けよう」
「話した通りにですね」
「そうだ、そうして勝てば」
「我々は東海も手に入れて」
「その富で甲信の内政がかなり出来る」
　農業、商業そして建築にというのだ。内政を行うにしてもまずは資金が必要だ。何につけても金が必要なのだ。