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夢幻水滸伝

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第八十一話 北陸の雄その二

「そうしてくるかと」
「そうなるぎゃな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「天竜峡に近付けば」
「今以上にだぎゃな」
「警戒が必要です」
「特に敵が前に出て来たなら」
「戦になれば」
 警戒する中でも特にというのだ。
「まさにです」
「警戒が必要だがや」
「そうです、今も警戒していますが」
 その時になればというのだ。
「まず確実にです」
「仕掛けてくるだぎゃな」
「自分達が劣勢ならどうするか」
 雅はこのことから今現在考えていた、自分達を相手の状況に置いた想定をしてそのうえで考えているのだ。
「そう考えますと」
「敵はだぎゃな」
「はい、必ずです」
「こっちに奇襲を仕掛けるだがや」
「これが連戦なら奇襲がなかったかも知れないですが」
 最初に負けても挽回の機会がある、それならばというのだ。
「しかしです」
「今回は違うだがや」
「そうです、一戦でです」
「全部が決まるだがや」
 どちらが東海及び甲信の覇者となる、そのことがというのだ。雅はこの申し出は長い戦で民に迷惑がかからない様にと考えて提案したがそれがこうしたことになることも実はある程度は想定していた。
 それでだ、決まると言った坂口に述べた。
「ですから」
「劣勢なら奇襲だがや」
「それを行ってです」 
 そうしてというのだ。
「勝つ」
「そうするだぎゃな」
「私もそうします」
「わしもだがや。正面から戦って勝つことが難しいならだがや」
 坂口も考える顔で述べた。
「桶狭間か小牧だがや」
「奇襲か待ち伏せですね」
「奇策で向かうだがや」
「そうなります、ですから」
 それでと言うのだった。
「甲信の方もです」
「そうするだぎゃな」
「必然的に、そしてです」
「奇襲も待ち伏せもそれに相応しい場所があるだがや」
「それが天竜峡です」
 この場所だというのだ。
「私が思いますに」
「そうだぎゃな」
「では」
「斥候を増やすだがや」
 坂口は雅にまずはこの言葉で応えた。
「それも忍の者をだがや」
「天竜峡の方にですね」
「あちらを敵に警戒しつつだぎゃ」
「よく見て」
「そうしてだがや」
「伏兵や地理をですね」
「確かめておくだがや」
 こう言うのだった。
「これでどうだがや」
「よいことです」
 即座にだ、雅は坂口にこう答えた。
「そうしてこそです」
「この戦は勝てるだがや」
「その通りです、では」
 雅は坂口の策をよしとした、こうしてだった。
 東海は天竜峡、敵が何かをしてくると思われるその場所に斥候達をやった。その斥候達は腕利きの忍や盗賊といった隠れることが上手な職業の者達だった。
 その彼等の報を聞いてだ、坂口は共に聞いている雅に言った。 
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