| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十九話 駿府から名古屋へその七

「まさに」
「そういうことだぎゃな」
「私は日本を統一しようと考えたことはありません」
 この世界に来てというのだ。
「駿河、そして遠江を手中に収めても」
「そこがですね」
「限度とです」
 まさにというのだ。
「考えていました」
「二国を治めるのも大変だがや」
 坂口は雅を小器とは思わなかった、そして国を治めることの難しさも知っていてこう言ったのである。
「だからだぎゃ」
「私もですか」
「器だぎゃ、しかしあんたがそう言うなら」
「それならですか」
「宜しく頼むぎゃ」
 雅に笑顔で言うのだった。
「これから」
「はい、それでは」
「それでまずは拠点は名古屋にしてぎゃ」
 坂口は雅の言葉を受け入れたうえですぐにこの話をした。
「そして第二の拠点は」
「駿府城ですね」
「そうだぎゃ、そして箱根との境の守りを固めて」
「東国への抑えとする」
「東国はえらいのが出て来たぎゃ」
「そうです、幸田さんが棟梁になられ」
「東国を凄い勢いで平定していっているだぎゃ」
 雅にこのことを言うのだった。
「そして東国を平定すれば」
「その後は」
「こちらに来るだがや」 
 間違いなくそうなるというのだ。
「だからぎゃ」
「今のうちにですね」
「守りを固めておくぎゃ」
 駿河と東国の境をというのだ。
「そしてその拠点としてぎゃ」
「駿府城をですね」
「使うぎゃ、そして駿河はどんどん治めてぎゃ」
「豊かにしていきますね」
「勿論他の国々もぎゃ、尾張もそうにしても」
 彼がいるこの国だけでなくというのだ。
「三河、そして遠江も」
「はい、東海は全て豊かな国で」
「治めれば治めるだけぎゃ」
「豊かになります、それ故に」
「内政には力を入れるだがや、そして内政を整えつつ」
「勢力を拡大していきますが」
「甲信だぎゃ」
 坂口が言ったのはこの地域だった。
「甲斐、信濃だがや」
「この二国にですね」
「進みたいところだがや」
「そのことですが」
 雅は坂口の考えにすぐに答えた。
「二国共それぞれ星の者がいます」
「それでどうも主従関係になってるぎゃ」
「そうです、滝沢君と正宗君です」
 この二人がというのだ。
「会って一騎打ちをしてです」
「そしてぎゃ」
「正宗君が滝沢君を認め」
「あいつの家臣になったぎゃな」
「第一の」
「わかったぎゃ、それなら」
 甲信のその状況を聞いてだ、坂口は言った。
「軍勢の主力をそちらに向けてぎゃ」
「そのうえで」
「まずは連中のことを調べるぎゃ」
「今以上に」
「そうするだがや。甲斐と信濃はうちの三国に面しているだがや」 
 駿河、遠江、三河の三国だ。東海道が通っているこの世界でも日本の交通の要衝と言っていい国々だ。
「攻められたらだがや」
「守る方としては不利ですね」
「二国からの道を通ってぎゃ」
 その甲斐、信濃からの道である。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧