夢幻水滸伝
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第七十九話 駿府から名古屋へその六
「そうなのです」
「ははは、酒はいいだがや」
「この世界でも」
「名古屋の酒もいいだがや」
坂口は笑ってこうも言った、その酒について。
「駿河の酒もだぎゃ」
「美味しいですか」
「そうだがや」
「飲まれたことがありますか」
「勿論だがや、起きた時の世界のことにしても」
彼等の本来の世界でのことだというのだ。
「美味しいと思ったぎゃ」
「実際にですか」
「そうだがや、わしは嘘は言わないぎゃ」
「駿河の海の幸やお蕎麦で」
「駿河は海の幸もいいだがや」
「それで、ですか」
「そちらも楽しんだぎゃ、静岡に行った時に」
まさにその時にというのだ。
「また行くだがや」
「そうですね、私も名護屋のお酒も好きです」
雅はその坂口に微笑んで返した。
「そしてあちらの食べものも」
「いいだがや」
「きし麺も味噌カツ、海老に名護屋コーチンにと」
「モーニングもいいだがや」
「スパゲティもいいですね」
「そうだぎゃ、そして何といっても味噌だがや」
カツにも使っているそれである。
「あの八丁味噌あってこそだぎゃ」
「名古屋ですね」
「あれが好きだがや」
「こちらの世界でもありますね」
「あるだがや」
そうした名古屋の料理は全てというのだ。
「だから楽しむだがや」
「そうですか、それでは」
「わしも駿河の料理を楽しんでぎゃ」
「お酒もですね」
「おっと、蜜柑もお茶もだがや」
坂口はこちらも忘れてはいなかった。
「全部楽しむぎゃ」
「お待ちしています、では」
「おお、蛤と鰻だがや」
「鰻はかば焼きに丼にきも吸いにと」
そうした様々な料理をというのだ。
「楽しみましょう」
「そうしてじゃな」
「さらにお話をしていきましょう」
鰻も食べつつとだ、雅は坂口に話して彼と共に蛤や鰻の料理を楽しんだ。そうしてだった。
彼のことを理解してだ、こう言った。
「宜しければ」
「これからのことだぎゃな」
「はい、私は貴方の下に入り」
そうしてというのだ。
「軍師として働かせて頂きたいのですが」
「わしが棟梁だぎゃ」
「尾張、三河、遠江そして駿河の」
東海の四国をというのだ。
「棟梁となって頂けますか」
「そして四国とそこにいる民達をだぎゃ」
「治めて頂けますか」
こう申し出るのだった。
「是非」
「おう、わしは東海だけに終わらんぎゃ」
「さらにですね」
「ここから日本をだがや」
「統一されますね」
「織田信長さんみたいにだがや」
坂口は笑って郷里の英雄の名前も出した、名古屋もっと言えば愛知県民にとって織田信奈は何といっても第一の英雄なのだ。
「なるだがや」
「そうですね、その意気こそがです」
「いいと言うだぎゃ」
「そうです」
雅は坂口に微笑み答えた。
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