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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九十九話 柿の美味しさその六

「よくそれでずっと国がもっているね」
「それだけ長い間飢餓状態でも」
「しかも相当な人が死んでるらしいし」
 百万単位だ、日本の人口比率だとどれ位か。二千二百万の中で百万だと。
「そのことを考えたら」
「怖い位ですね」
「それであそこの将軍様はね」
 共産主義では有り得ない筈の世襲制の国家元首だ、何でも親父は日本の皇室は大反対なのにこちらは支持している人がいて本当の馬鹿だとその人自身に言ったらしいが僕もそれは否定しない。
「あの通りね」
「テレビでも出ている様に」
「うん、代々だけれど」
「太っていますね」
「凄くね」
 うちの学園でもあそこまで太っている人は滅多にいない。
「ビヤ樽みたいだよね」
「はい、まさに」
「人民は餓えているのに」
 あえてあの国の表現で言ってみた。
「柿も食べようと思えばね」
「幾らでもですね」
「何かいつも大酒飲んでいるらしいから」
 ワインが好きとのことだ、それも高級ワインだ。
「ああしてね」
「飲めば食べるので」
 何でもチーズが好きらしい。
「それで」
「ああしてね」
「太っていますか」
「そうみたいだよ、もう何ていうかね」
「間違っていますね」
「そう思うよ」
 僕はこのこともその通りとしか答えられなかった、本当に何から何まで間違っている国にしか思えない。
「そうした人はどんな時でも食べたいとね」
「自重せずにですね」
「柿だってね」
 身体を冷やすそれをだ。
「何個でも食べるだろうね」
「それは羨ましいですが」
「それでもだよね」
「やはり柿が身体を冷やすことは事実なので」
 それでというのだ。
「大事な時はです」
「食べてもね」
「一個でないと」
 残り少ないラーメンをすすりつつだ、円香さんは僕に応えた。
「駄目ですね」
「その通りだ、身体はあまり冷やし過ぎてはよくない」
 留美さんも言ってきた。
「特に食べものや飲みものはお腹を冷やすからな」
「お腹を壊しますね」
「そうなってしまうと難儀だからな」
 それ故にというのだ。
「あまりだ」
「大事な時はですね」
「柿、そして茄子もだ」
「食べ過ぎないことですね」
「あとトマトもだな」
 このお野菜もというのだ。
「あれも身体を冷やす」
「水気が多いからでしょうか」
「おそらくな。ただトマトは栄養の塊だから食べることはな」
「いいことですね」
「食べ過ぎることはよくないといってもな」 
 それでもというのだ。
「あれも過ぎないといい」
「左様ですね」
「柿と同じだな、では次はな」
「いよいよですね」
「その柿を食しよう」
 留美さんは親子丼を食べ終えた、完食でそこにはやるべきことを果たした勝者の顔がはっきりとあった。
 そしてその勝者がだ、今褒美に向かっていた。
「いよいよな」
「僕も食べ終わったよ」
「私もです」
 僕も円香さんも食べ終えた。
「それでは」
「これからね」
「三人で柿を食べる、日本の秋の味覚をな」
「そうしようね、そういえば柿は日本原産とのことだけれど」
 僕は留美さんにここでこう返した。 
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