| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百九十九話 柿の美味しさその五

「そうなると怖いから」
「だからだな」
「あの国は本当に警戒しているし」
 グループ全体でだ。
「この学園にもね」
「関係者を入れていないか」
「そうしているんだ」
 全ては学園の為だ。
「国交もないってことが第一でね」
「理由があってのことだな」
「何か変な学者さん達が差別だって言ってるらしいけれど」
「国交がない国でか」
「しかも工作品の話本当に多いし」
 拉致だのそんな洒落にならない話もあるからだ。
「総帥さんも理事長さんもね」
「代々だな」
「受け入れていないんだ」
「あの国だけはか」
「そうなんだ」
 現実問題としてだ。
「そうした事情があるんだ」
「よくわかった、常識の話だな」
「常識問題真っ黒だからね」
 あの国についてはだ。
「それ以前に国交もない。総連関係者の人もいないよ」
「それも国交とだな」
「その真っ黒さからね」
「学園全体のことを考えてか」
「あの国の人達はいないよ」
 ただ在日の人はいるのでその人達の国籍が北朝鮮ということはある。グループとして在日の人達だけでなく部落差別の問題にも関わっているのでそうした差別はしない様にしている。ただ怪しげな団体や活動には気をつけている。
「他の全てと言っていい国から集まっているけれどね」
「そういうことだな」
「そうなんだ」
「そうですか、それでなのですが」 
 ここで円香さんが豚骨ラーメンを食べつつ僕に言ってきた。
「あの国の人はいないとのことですが」
「今話した通りにね」
「あの国に柿はあるでしょうか」
「ないと思うよ」
 僕は円香さんにすぐに答えた。
「日本統治時代に入っていたかも知れないけれど」
「今はですか」
「うん、そもそも食べものがね」
 それ自体がだ。
「あの国はね」
「ないですか」
「慢性的な飢餓状態だから」
 このことでも有名な国だ、何でも失政のせいでそうなったらしい。
「だからね」
「柿はですか」
「ないと思うよ。もう食べるものっていうと」
「お米もですね」
「物凄く少ないらしいから」
 あちらでも主食だけれどだ。
「それもね」
「ないのですね」
「終戦直後の日本よりもね」
 あの食糧難だった時代のだ、映画でバラックが出たりするけれどあの頃はまさにああした状況だったらしい。
「食べるものがなくて」
「飢餓ですか」
「もう四半世紀位ね」
 普通にこう言われているらしい。
「お米も他のものもね」
「食べるものがないですか」
「元々春になったら食べるものがなくなる国だけれど」
 これは韓国もだ、春窮といって冬を越して春になるともう冬に食べるものを食べ尽くして春にはその冬で自然にも田畑にも食べるものもないので餓えるということだ。あの半島の独特の悩みであったという。
「あそこは今もね」
「毎年春はですか」
「それがある筈だから」
「春が一番怖いですか」
「そうだと思うよ」
 いつも飢餓状態でも殊更だ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧