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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九十八話 暑さ寒さもその十

「私は赤いワインを」
「血の様にだな」
「飲んで生肉でもです」
 肉は肉でもだ。
「食い千切っていた様な」
「そうしたイメージだったな」
「そうでしたが」
「しかしだ、今言った通りだ」
「お酒は口にしないで」
「そして菜食主義者だった」
「煙草を特に嫌っていて」
「質素な生活の紳士だった」
 そうだったというのだ。
「そう言っていい人物だった」
「大勢のユダヤ人を虐殺しても」
「それでもだ」
「個人としては」
「今話した通りの人物だ」
「甘いものも好きだったとは」
「本当に意外だな」
「そういえば織田信長さんも」
「あの御仁は残酷かというと実は違った様だ」
 あの黄金の髑髏の話は創作だったみたいだ、そして処刑にしても重罪人を鋸引きとかにしていても不必要な血を流させる人物ではなかったという。
「一向一揆や比叡山とのこともな」
「沢山の人を殺したとも言われていますが」
「戦国の世だし当然と言えばな」
「それもですか」
「仕方ないと言えるし特定の人達をそれだけで殺戮したりな」
「そうしたことはしない人だったのですね」
「確かに気性は激しかったというが」
 すぐに怒るところは確かにあったらしい。
「しかしだ」
「それでもですのね」
「よく言われている様なことはなかった」 
 虐殺したりそうしたことはだ。
「そしてこの人も甘いものが好きだった」
「そうでしたの」
「酒は全くと言っていい程飲めなくてな」
「それは意外ですね」
「下戸だったという」
「よく飲みそうですが」
「体質として飲めなかったらしい」
 僕もこの話を最初聞いた時驚いた、僕にしても織田信長という人はお酒が好きでかなり飲むイメージだったからだ。
「それでだ」
「甘いものがですか」
「好きだったという」
「では柿も」
「間違いなく好きだった」
 こう僕に話してくれた。
「当時柿は重要な甘味だったからな」
「日本において」
「当時は菓子は贅沢なものだったしな」
「お砂糖もですね」
「高価だった」
 狂言にもそんな話がある、砂糖を毒と言って隠していて主人公達が食べてしまうという騒動を描いた作品だ。
「だから小豆等で甘さを楽しんでいたが」
「果物が主流でしたね」
「そして日本の果物といえばな」
 何といってもだ。
「柿がまずくるからな」
「それで、ですね」
「織田信長公も柿は好きだった筈だ」
「そうでしたか」
「菓子は江戸時代から普通になった」
 生産力が戦国時代そして安土桃山時代にあがってだ、菓子の材料も多く作られる様になったし茶道も定着した。茶道にはお菓子が欠かせないからだ。
「そして砂糖もな」
「江戸時代からでしたね」
「八代将軍吉宗公の頃に白砂糖が入った」
「和三盆ですね」
「あれが出来た」
「それまでは日本にはお砂糖は」
「ほぼなかった、特に白砂糖はな」 
 つまり黒砂糖が主流でこちらも非常に高価だったのだ。 
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