八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百九十八話 暑さ寒さもその九
「徹底的な合理主義の中でだ」
「ああした残酷なことをですか」
「ナチスの弾圧の中でな」
「残酷さを入れたのですか」
「残酷な弾圧を受けると反抗する者もいなくなる」
留美さんはこのことを指摘した。
「恐怖を感じてな」
「その恐怖を見せる為にですか」
「ナチスは残酷だったのだ」
「合理的にですのね」
「ハイドリヒは実際に残酷性が高かったというが」
そのヒムラーの下で辣腕を振るった人物だ、親衛隊大将の階級にあり謀略と弾圧を繰り返してきたことで知られている。
「それ以上にやはりな」
「そのハイドリヒという人もですか」
「冷徹で合理的でだ」
「その中にですか」
「残酷さもあった様だ」
「何かイメージと違いますね」
「ナチスが残酷だということはだな」
留美さんは円香さんに返した。
「人間のそうした面が露骨に出ていたとか」
「思っていましたが」
「そこは違う、ナチスは悪い意味であってもな」
「合理的だったんですね」
「そうした組織で政権だった」
「そうでしたの」
「そして冷徹だった」
合理的であることに備えてだ。
「ヒトラーもな」
「何かヒトラーはよく色々言われていますが」
「確かに悪名高いがな」
「合理的な人で」
「私生活自体は質素だった」
そうした人だったというのだ。
「そして甘いものも好きだった」
「お酒も煙草も口にしないうえに菜食主義者で」
「女性にも清潔だった、ただしだ」
「あっ、エバ=ブラウンという人ですね」
円香さんはここでこの人の名前を出した。
「最後に結婚したという」
「実はこの女性のことは傍にいた人でも知らない人が多かった」
あの電撃戦術のグーデリアンも長い間ヒトラーの傍にいてその私生活もよく見ていたがこの人の存在は知らなかったと自伝に書いてある。
「そして多くの女性との交際もだ」
「しなかったのですわね」
「そうだったがもてた」
「そうですの」
「ヒトラーは国民から絶大な支持を得ていた」
その圧倒的な支持故に政権に就き独裁者となった、そして最後まで国民からの支持は劣ろなかった。
「カリスマ性故だがな」
「ヒトラーのカリスマ性ですね」
「統率力も凄かったが」
政治センス、政策や謀略も含めてこれも凄かったり知力も高かった。考えてみると超人的な人物だったかも知れない。
「しかしだ」
「女性については清潔で」
「しかし国民の半分は女性だ」
これは自明の理だ、国によって多少男性が多かったり女性が多かったりもするがおおむね国家は男女半々だ、
「そしてその女性からもだ」
「ヒトラーは絶大な支持を得ていたので」
「女性にもてていた」
「そうなるんですね」
「ヒトラーは歴史上最も女性にもてた人物の一人だ」
「ではアイドルや俳優の人達よりも」
「比べものにならない」
そこまでもてたというのだ。
「贈りものが絶えなかったというしな」
「本当にもてたのですね」
「しかし女性には清潔であった」
このことは終生変わらなかったみたいだ、そういえばヒトラーには女性の話が驚く程少なかったりする。
「そしてむしろ甘いものの方がな」
「好きだったのですね」
「そうした人物だった」
「色々とイメージが違いますわ」
円香さんのこれまでのというのだ。
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