八条学園騒動記
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第四百九十七話 五段バーガーその七
「あそこまではだったわ」
「ううん、伊達に食べるのもお仕事じゃないのね」
「そうよ、ちゃんこ鍋食べ放題で」
「お酒は飲み放題ね」
「酒池肉林っていうか」
美酒美食という意味である、殷の紂王が当時贅沢なものだった酒も肉もふんだんに使って宴を行ったとされているのだ。酒の池を造り林に無数の干し肉を吊るしてそうして楽しんだと史書にはあるのだ。
「もうね」
「そんな勢いだったの」
「お酒を飲んで」
「お肉もお野菜も食べて」
「私には絶対に無理という位にね」
「食べていたのね」
「ええ。ただね」
ここでこうも言ったプリシラだった。
「実は力士の人達はね」
「実はって?」
「脂肪率は高くないのよ」
「ああ、脂肪があって」
「その下は筋肉だから」
それが力士の身体なのだ。
「脂肪は膜みたいなもので」
「実は筋肉の塊よね」
「お腹も脂肪はあるけれど」
それで一見出ている様に見えるがだ。
「その実はね」
「腹筋も凄いわよね」
「全身筋肉よ」
それが力士の身体の真実だというのだ。
「しかも骨も丈夫だから」
「カルシウムも摂ってて」
「骨の分もあるし」
「実は脂肪率は低いのね」
「少なくとも二十世紀の終わりや二十一世紀のアメリカ人みたいな」
「ああしたとんでもない肥満じゃないのね」
「あれはもうね」
その当時のアメリカ人に見られた肥満はというのだ。
「おかしい位だから」
「あそこまで太るとね」
ジュディもチキンナゲットを食べつつ言う。
「もう病気よね」
「命に関わるわ」
「そうした肥満よね」
「そう。けれどね」
「力士の人達はね」
「脂肪率が少なくて」
それでというのだ。
「実はなのよ」
「筋肉の塊で」
「その筋肉を作る為に」
それを目的として、というのだ。
「食べてるの。昔は御飯にお酒をかけて食べたそうだけれど」
「今は絶対に駄目な食べ方ね」
糖尿病になるからだ、ただこの時代では糖尿病も完治する病気である。
「それは」
「ええ。けれどね」
「そうした食べ方もしてなの」
「身体を作ってたのよ」
力士のそれをだ。
「だから本当にね」
「食べるのもなのね」
「お仕事なのよ」
「また別の人達ね」
「私達とはね」
「そういうことよね、私だったら」
ここでこう言ったジュディだった。
「食べることは好きでも」
「それがお仕事なら」
「もう限界超えてもよね」
「食べないといけない場合もあるでしょうね」
「それは嫌ね、食べることはね」
今度はサラダを食べつつ言った。
「あくまで楽しみで」
「苦しんで食べることはしないわね」
「考えたこともないわよ」
それこそという返事だった。
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