クロスウォーズアドベンチャー
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第23話:神の予言
ゆっくりと下降していくシャウトモンX6とインペリアルドラモンHDM。
あまりの負担に分離、退化した時にはシャウトモンとブイモンはヘロヘロ状態となっていた。
「ブイモン、大丈夫か?」
「う~ん、パワー使いすぎた…」
「こ、これは流石の私もクラクラするわ…」
「ふわわわわ…」
あれだけのパワーを引き出す進化なのでテイルモンとワームモンもそれなりに負担があったようだ。
「みんな!!」
「おう、アカリさん!!勝ったぜ!!」
「やったな!凄かったぞ!」
「まさかあのブラストモンを倒しちゃうなんてねえ…」
ウィザーモンの称賛の言葉にタイキは笑みを浮かべる。
「ありがとう!けど…今はゆっくりと喜んでもいられないんだ。すぐにでも体勢を立て直してデジタルワールドに戻らないといけない…!」
【………?】
大輔達はタイキの言葉に疑問符を浮かべている。
少しして弟子のデジモン達と共に現れた1体のデジモン…先程のアルフォースブイドラモンが現れ、大輔達に全てを話す。
神の予言した黙示録の戦争を。
“赤黒の双頭竜が天を征く時、生と死、天と地、有と無、過去と未来。
あらゆる有意情報(データ)を無意情報(ノイズ)へと換える炎が世界を覆うだろう。
多くの魂が安息を求めて彷徨うが、それすらも竜に喰われて新たなる原初の混沌を肥やすのみ…。
嘆きと共に2つの宇宙は互いを押し潰し、一条の光、一片の闇さえ射さぬ永き灰色の時代を迎えるであろう…。”
アルフォースブイドラモンがどのような方法を使っているのか分からないが、全員の頭の中に予言の内容とイメージを流していく。
「そして…神の示した滅びの刻限まで、もう2ヶ月あまりしかないのだ!!それまでにバグラ軍を駆逐し、奴らの企みを阻止しなければならない!」
「何だって…たった2ヶ月しかないのかよ!?」
残りの期間を聞いた大輔が思わずアルフォースブイドラモンに聞き返してしまう。
アルフォースブイドラモンは大輔の問いに静かに頷いた。
「あ…後2ヶ月でデジタルワールドも人間界も滅びちゃう…!?」
「……正直、あまりにも話が大きすぎて理解が追い付かないな…」
アルフォースブイドラモンの能力で予言の内容とイメージを見聞きしたアカリと賢は今でも信じられないと言いたげな表情である。
「予言と言ったが…そんな呪(まじな)いめいた物が本当にアテになるのか?」
キリハの問いにもアルフォースブイドラモンはすぐに答えてくれた。
「正確にはホメオスタシスによる超々高精度の因果演算の結果だ。何か手を打たなければ高確率でそうなる…としか言いようがない」
アルフォースブイドラモンの言葉にウィザーモンが反応し、今度は彼が前に出た。
「待って下さい!未来を形成するあらゆる因果を演算処理出来ると言うのなら、その過程において滅びの原因やその対処法を知ることも出来るのではないのですか?」
ウィザーモンの問いにアルフォースブイドラモンは頷きながら口を開いた。
「確かにホメオスタシスはこの宇宙を構成する全てのデータを閲覧し、演算する権限を持っているけど…そのデータが何を意味するかは、逐一非常に複雑な解析をしてみないと分からないんだよ」
「成る程…全知ではあるが、全識ではない…ということですね…」
「ええと、どゆこと?」
アカリが思わずウィザーモンの助手兼用心棒の方のテイルモンに尋ねる。
「一定のルールに従って出力された情報じゃないと意味が分かんないってことかな?例えば私達デジモンだって本質的には0と1で記された配列(コード)なんだけど…それだけ見ても何が何だか分かんないでしょ?」
「ん~…確かにな…配列だけじゃ何が何だかさっぱりだし…まあ、光子郎さん辺りなら分かるかもしれないけどさ」
テイルモンの言葉に大輔も同意する。
「だが、稀にいくつかの手掛かりから未来を構成するデータの一部が鮮明に解読されることがある。これは偶然による要素が大きくて、故に我々はこのことを“予言”と言っているんだ」
「…差し当たっては、目下一番の脅威であるバグラ軍を倒せってことか…」
「はい!現在のデジタルワールドに大きな影響を与えているバグラ軍と“赤黒の双頭竜”が無関係であるとは考えにくいです」
「バグラ軍を倒すことが滅びを回避することに直接繋がるか…少なくとも重要なヒントを得られるというのが、お師匠様やロイヤルナイツの結論なんです」
ドルルモンの言葉にアルフォースブイドラモンの弟子であるルナモンとコロナモンが頷いた。
「やれやれ…何だか厄介事が増えてしまった感じだな」
メイルバードラモンの言葉にタイキは苦笑しながらも口を開いた。
「でも確かに見えてきた…!少なくとも俺達が何を知らないといけないのか。そのために何をしなきゃいけないのか…それが分かっただけでも人間界に来た大きな収穫だよ!」
タイキの言葉にバリスタモンが口を開く。
「デモソレハ、後タッタ2ヶ月デ三元士ヤ皇帝バグラモンヲ倒サナケレバナラナイト言ウコトダ」
「言う程容易いことじゃないぜぇ!!?」
バリスタモンに続くようにシャウトモンが言うが、大輔達は自信に満ちた笑みを浮かべている。
「それはどうだろうね…?」
「俺達は今までの戦いで大きくパワーアップしてきた」
「仲間だって沢山増えた。」
「俺達が今までの戦いで築き上げてきた物は決して小さくはない!!」
「それを全てぶつければ勝てない戦いじゃあないと思うぜ!!」
賢、大輔、ヒカリ、キリハ、タイキの順で言う。
そしてタイキはキリハに手を差し出した。
「チーム・クロスハートは、チーム・ブルーフレアに同盟を申し入れる!あんな奴ら、ちゃっちゃと倒して俺達の巡り合いの戦いにも決着をつけないとな」
「最高の戦場になる!未来を掴み取るために…!!」
キリハもそれに応え、この瞬間にデジタルワールドの希望の二大勢力が手を組んだ。
外に出ていたメンバーから歓声が上がる。
「あの、ジェネラル・キリハがなあ…こりゃ大事になるわい」
バロモンが呟き、隣ではコロナモンとアルフォースブイドラモンが会話している。
「デジタルワールドに帰ったら残ったナイツも再結集しなくては!!」
「ああ!みんなしぶとい奴らだ。きっとどこかで反撃のチャンスを狙っている…!」
「それにしても…大分過去を変えちゃったなあ…昔の俺とかどうなるんだろ?」
「過去?」
「キリハも驚いただろ?俺なんて昔の自分にまで出会してさぁ…」
「何を言っている。時間が巻き戻ったとでも言うのか?」
キリハの言葉に目を見開くタイキとシャウトモンであった。
一方、ブイモンはアルフォースブイドラモンに呼ばれ、近くに歩み寄る。
「何だよアルフォースブイドラモン?」
「いきなりですまない…単刀直入に聞こう。君はマグナモンの関係者なのかい?君からは我が僚友と同じ気配を感じたんだ。」
「へ…?ああ、もしかしてこっちの世界の俺のことを言ってんのか?悪いけど俺はそっちの俺じゃない」
「え?それってどういう…」
「私が説明するわ、一応マグナモンとは知り合い…と言うか腐れ縁だし。こいつは並行世界のマグナモン…ていうかマグナモンになる前の存在なのよ」
テイルモンがアルフォースブイドラモンに説明する。
「成る程…!並行世界か…確かにぼ…私はかつて平行世界から来た存在と共に戦ったことがある!君達もそうなのか…」
「んー、多分そうだな」
「並行世界の存在とは言え、僚友とまた会えて嬉しいよ」
「そっか…」
ブイモンは知らないが、アルフォースブイドラモンはある意味ブイモンの可能性の一部とも言える存在。
何となく似ている部分もあるためアルフォースブイドラモンを見上げるブイモンであった。
そして、数日後のデジタル空間ではミストゾーンでリリスモンと戦い、左腕を失いながらも追い詰めたことでリリスモンを爆発させてしまい、デジタル空間を漂うことになってしまったマグナモンの姿があった。
「くっ、このままじゃ……!?」
突如感じた力にマグナモンは目を見開いた。
「何だ…この力は…まさか…俺!?」
違う場所から感じ取った力にマグナモンは意識をハッキリと取り戻し、一気にブースターを噴かしてその力を目印にして突き進むのであった。
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