夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七十七話 筑後騒乱その八
「迂回して攻める、しかも」
「海からです」
「今敵の水軍は天草の方ばいて」
そしてとだ、純奈は海の方を見つつ又吉に応えた。
「いない、それなら」
「そうです、その海からです」
「攻めるといいたいな」
「そう思ったのですが」
「名案ばい」
純奈は又吉に強い声でこう返した。
「うちはそれでいいと思うばい」
「それでは」
「うちは賛成たい」
「そうでごわすな」
北原も考える顔で言ってきた。
「そうして攻めれば」
「はい、相手もですね」
「海の方に備えはないでごわすからな」
「攻めるべきです、しかも」
又吉は北原にさらに話した。
「敵軍を攻めるのではなく」
「軍勢ではないでごわすか」
「城です」
そこを攻めるべきだというのだ。
「佐賀城を」
「あの城をでごわすか」
「あの城を攻め落とせば」
佐賀城、雪路にとってこの戦いでの後方の備えとなるこの城をというのだ。
「それで、です」
「敵の後ろば危うく出来るでごわすな」
「そうです、攻め落とせずとも」
それでもというのだ。
「それで、です」
「敵は浮足立つでごわすな」
「そのことは間違いないです」
「攻めて損はないでごわすな」
「はい、どうでしょうか」
「いいでごわす」
まさにとだ、北原も又吉の策に同意して頷いた。
「それではでごわす」
「その様にですね」
「攻めるでごわす」
これで決まった、そしてだった。
北原は純奈が率いる軍勢を空船に乗せさせてそうして佐賀城に向かわせた、だがそれは美鈴も見ていて。
すぐにだ、雪路に言った。
「ここはたい」
「何かありましたか」
「佐賀城に敵が向かっているたい」
「あの城にですか」
「あんたの城たいが」
「まさかあの城を攻めてくるとは」
「空船を使ってたいよ」
この船を使ってというのだ。
「海から攻めていっているたい」
「そうですか」
「だからたい」
「佐賀城の守りですね」
「そっちは大丈夫たいか」
「連絡を入れます」
雪路は貝殻を出した。
「すぐに」
「頼むたい、あの城ば攻め落とされたら」
「こちらはどうにもならなくなります」
「そうたい、危うくなるたい」
「それでは」
「援軍を向かわせることもしたいたいが」
美鈴は純奈に考える顔で話した。
「移動の術と空船を使ってたい」
「そうしてですね」
「兵を向けるたい、そして」
「そのうえで」
「佐賀城を守るたい」
敵が向かうのならとだ、こう言ってだ。
美鈴も佐賀城に兵を急派させてだった、そのうえで。
純奈に言って佐賀城の守りを固めさせた、これで佐賀城は守られたのだが。
それを見てだ、純奈は佐賀城攻めを中断してだった。自身が率いている空船達を一旦海に戻してだった。
ページ上へ戻る