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夢幻水滸伝

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第七十七話 筑後騒乱その九

 そこからだ、さらにだった。
 敵軍の後ろに向かいそこに着地した。それを見てだった。
 北原は純奈にだ、貝殻から言った。
「ではでごわす」
「これからか」
「そうでごわす」
 まさにというのだ。
「敵を攻めるでごわす、そして」
「さらにですね」
「おいどん達もでごわす」
 自分達もというのだ。
「攻めにかかるでごわす」
「どうして攻めますか」
 又吉が北原に横から聞いてきた。
「この度は」
「川を渡ってか空船からとなるでごわすが」
「空からは難しいかと」
 そこからはというのだ。
「やはり」
「警戒が強いからでごわすな」
「大砲は今も向けられています」
 空の方にだ、星の者達の世界で言う高射砲の使い方そのままだ。尚高射砲は水兵射撃で地上攻撃も可能だ。
「ですから」
「空船や空を飛べるモンで攻めてもでごわすな」
「術も弓矢や鉄砲もあります」
 そうしたものもというのだ。
「弾幕の様なものを張られ」
「攻められないでごわすな」
「はい、空からは」
 とてもというのだ。
「攻められません」
「なら一つでごわすな」
「はい、川からですが」
「ならばでごわす」
 強い声でだ、北原は言った。
「川の罠ば潰してそこからでごわす」
「渡りますか」
「そうするでごわすが」
「しかし罠を一つ一つ潰すにも時間がかかります」
 純奈が貝殻の向こうから言ってきた。
「そしてです」
「罠がなくなってもでごわすな」
「川を渡る時は無防備になります」
 そうした状況になることもだ、又吉は話した。渡河はその為に危険であり彼等も今川のそのことを考えて川を挟んで対峙していたのだ。
「ですから」
「迂闊にはでごわす」
「渡れないですが」
「承知しているでごわす」
 北原は強い声でだ、又吉に応えた。
「そのこともでごわす」
「そうですか、では」
「一つ策を閃いたでごわす」
「その策は一体」
 又吉がまた北原に問うた。
「どうしたものですか」
「川の渡るところにでごわす」
 まさにそこにというのだ。
「砲や術で攻撃ば仕掛けてでごわす」
「敵が川の中に仕掛けている罠をですか」
「潰すでごわす、そのうえで」
「川を渡りますか」
「川の罠ば壊したら次は空船や飛べるモン達ばに守らせて」
「川を渡る軍勢を」
「一気に渡るでごわすよ」
「そうしますか」
「勿論守るだけでなく向こう岸の敵の軍勢も攻めるでごわす」
 空船や空を飛べる者達はというのだ。
「薩摩っぽの攻め方でいくでごわす」
「前に駆けながら鉄砲や術を放っていく」
「それで攻めてでごわす」
 そのうえでというのだ。
「敵に攻めさせんでごわす」
「まさに薩摩の攻め方でいきますか」
「そうするでごわす、では」
「これよりですね」
「まずは川を攻めるでごわす」
 こう言ってだ、北原はまずはだった。 
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